戦争を繰り返さないために「現実の策」を立てなくてはいけない
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ジャーナリストの有本香が8月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。8月15日に行われた全国戦没者追悼式について解説した。
戦没者追悼式
終戦から77年となった8月15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館で行われた。コロナ禍以降、初の行動制限がない夏となったが、新型コロナ対策で3年連続の規模縮小となり、8月12日までに京都、山口、愛媛、沖縄の4府県が参加を取りやめた。今年も国歌斉唱は行わず、演奏のみとなった。
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天皇陛下)本日、「戦没者を追悼し、平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、先の大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来77年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。
私たちはいま、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるさまざまな困難に直面していますが、私たち皆が心を1つにし、力を合わせてこの難しい状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。
ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いをいたしつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り、戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
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太平洋戦争の国策の失敗は何だったのか、戦争を繰り返さないために何をするべきなのか ~現実的に考える
飯田)8月15日に行われた全国戦没者追悼式における、天皇陛下のお言葉でした。戦後77年を迎えましたが、どうご覧になりますか?
有本)ある意味、歴史になりつつあるわけです。私の世代の場合、親は戦争体験があるのですが、私たちの親も他界している人が多いですからね。私の世代がそろそろ現役を引退しかけているわけです。
飯田)年齢的に。
有本)戦後に産まれて、高度経済成長の世の中で育ち、平和で豊かな日本しか知らない世代が、もう社会の中軸からリタイア気味になっていく。そのくらいの年月が経っているわけです。
飯田)そうですね。
有本)陛下のお言葉を、私もじっくり拝聴したわけですが、過去を歴史としてきちんと振り返る。あのときの国策の失敗は、いったい何の国策の失敗だったのか。そして、再び戦争の惨禍が繰り返されないために、私たちはいま、現実的に何をすべきなのかということです。
飯田)現実的に何をするべきか。
有本)一種のプロパガンダや特定の思想などに惑わされず、あくまでも現実的に考えるべきだと思います。いま世界中を見渡しても、ヨーロッパは戦争をしていますが、東アジアも相当危険な状況に陥っているわけです。これを戦争にまで発展させない1つの方法としては、やはり軍事バランスを保つことです。既に崩れかけているわけだけれども、きちんとバランスを保つということは必要です。
圧倒的に足りない防衛費
飯田)そのためには立て直すという部分で、防衛費の話もあります。
有本)そういうことになりますよね。ただ、組閣で防衛大臣が変わりました。新しい浜田防衛大臣は対GDP比2%を指標にすると。このGDP比2%という指標もどうなのかなという思いがありますが、いま圧倒的に足りていないことは明らかなのです。
飯田)防衛費が。
有本)武器・弾薬だけではなく、例えば自衛隊の隊員の方々の処遇を考えても、圧倒的に足りないわけです。それから武器弾薬庫がありますが、耐震化が追いついていないなどという大変な状況があります。私たちは、陛下がおっしゃったことを深く受け止めて、現実の策をきちんと立てて実行していかなければならない。戦争を繰り返さないために。そういう日にしたいですよね。
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