浜田靖一氏の防衛大臣就任で難しくなった「防衛国債」発行
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数量政策学者の高橋洋一が8月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本の防衛費論議について解説した。
台湾有事の場合、日本はどうするのか
飯田)アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問は、8月3日の出来事でした。日本を取り巻く環境もいろいろ変わっていると思いますが、高橋さんはウェブメディアの「現代ビジネス」に記事を出されています。
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『ペロシ氏訪台の「本当の意味」がわかっていない日本の防衛費論議』
~『現代ビジネス』2022年8月8日配信記事 より
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高橋)このような状況で、いま、中国と台湾がそれぞれ演習していますが、演習の領域が重なっているのです。つまり偶発的なことも起こり得るわけです。
飯田)そうですね。
高橋)次はどうなるのか、日本はどうするのですかと。安倍さんは台湾有事は日本有事であると言っていましたが。
飯田)安倍晋三元総理が。
高橋)煽って言っているわけではないのですが、客観的に言うとそういうことなのです。
防衛大臣に浜田靖一氏 ~内閣改造
飯田)既に日本の排他的経済水域にミサイルが5発撃ち込まれていますからね。
高橋)国際法上で規定がないと言うのですが、「排他的経済水域」と書いてあるのだから、国際法違反という状況ですよね。なぜなら排他的ではなくなっているのだから、その間は通れないでしょう。
飯田)実際、与那国島の漁家の方々は出られないからと、演習期間中は漁を自粛しました。
高橋)そのような意味でも迷惑をかけているので、国際法上の問題が出ていますよね。そのような状況での内閣改造ということでしたが、防衛大臣にはガックリきました。
飯田)浜田靖一さんの名前が出ています。過去に務めたことのある方で。
防衛大臣に浜田氏起用で「防衛国債の発行」が難しくなる
高橋)麻生太郎政権のときに務めていたのですが、財務大臣が変わらないでしょう。そして防衛大臣が浜田さんだと、防衛国債の発行が少し難しくなってくるでしょうね。
飯田)建設国債などの対象の話で、海上保安庁は含まれるけれども、自衛隊の艦艇などは含まれないというのはどういうことなのだと。
世界には建設国債や特例国債というような区別はない
高橋)そもそも建設国債というのは日本独自の概念なのです。独自の概念で話していると、理解できない議論がたくさんあるということを言いたかったのです。
飯田)そもそも論として。
高橋)そもそも論として、建設国債や特例国債という区別は世界にはありません。マスコミの方々は当たり前のように話しているのだけれど。
飯田)諸外国の場合は、用途を決めて国債を発行することがそもそもない。
高橋)分けていません。昔は分けていたのですが、意味がないのでやめたという歴史ばかりです。
飯田)結局、金に色はついていないという認識があるわけですか? 区別したところで、という。
高橋)どんなものをやっていても、資産性があればそれはそれで債務ではないということがあるのです。バランスシートでみたときに、資産性があれば借金は資産で相殺できるというのは、どこでも当たり前の原則です。全体のバランスシートでみる限り、個々に分けて考える必要はないのです。
飯田)負債は負債であって。
高橋)そうです。負債は負債であって、資産がある人間は、何に対応するかは関係なくても資産があると考えればいいだけなのです。借金に「これはこういうもので、こういうものだ」と色をつける意味はまったくありません。
国債を買って「これは何の国債ですか?」と聞いても答えられない
高橋)年限が違うだけです。マーケットで取引するときには、どんな国債でも「これは建設国債ですか?」と聞くことはありません。マーケットでは、はっきり言って識別できないのです。識別できないようにしているのだけれど、回号での発行根拠では「4条及び特例法」と書いているので、どれが内訳か絶対に外にはわからないのです。
飯田)そうなのですね。
高橋)そうなのです。国債を買って、「これは何の国債ですか?」と聞いても、答えられません。
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