このタイミングで北朝鮮が日本海にミサイルを撃つ「理由」
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元内閣官房副長官補で同志社大学特別客員教授の兼原信克が9月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本海に向けて発射された北朝鮮の短距離弾道ミサイルについて解説した。
合同演習を予定している米韓に対抗か
韓国軍参謀本部は9月25日午前、北朝鮮が北西部・泰川(テチョン)一帯から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射したと明らかにした。
飯田)9月25日朝6時53分ごろ、北朝鮮から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発が発射されました。なぜこのタイミングなのかというところですが、安倍さんの国葬儀は27日ですけれども、それとは関係ないのでしょうか?
兼原)これは韓国とアメリカ向けで、あまり日本は見ていないと思います。
飯田)韓国とアメリカ向け。
兼原)ひとことで言うと「馬鹿にするな」ということです。「怖いのだぞ」ということだと思います。
飯田)予定されている米韓合同演習の実施に対してですか?
兼原)それに反応するのです。圧倒的にアメリカが強いし、韓国も強いですから。ハリネズミが「バッ」と針を出しているような感じです。
飯田)天敵が来たときに。
兼原)そうですね。「やられたらやり返さないと馬鹿にされる」と思う人たちですから。
尹政権に対するアピール
飯田)文在寅政権から尹錫悦政権に変わって、韓国がアメリカに接近することはありますか?
兼原)社会党から自民党に変わったのと同じようなものですからね。180度変わるでしょうし、今度は構えているのだと思います。
飯田)韓国という国に対して、あるいは米韓同盟に対して。
兼原)(北朝鮮は)軍事力しかないので、それを見せるしかないのです。他は何もないですから。「私たちはまだ頑張っているぞ」という感じだと思います。
ミサイル防衛ができない「イスカンデル」ミサイルを発射か ~自らの抑止力を見せる北朝鮮
飯田)今回、弾道が変化する形のものだったという分析がありますけれども、「俺たちはいろいろ持っているのだぞ」とアピールしているのですか?
兼原)おそらくロシアの「イスカンデル」というものだと思うのですが、変速軌道でマッハ5を超えてしまうと、ミサイル防衛は当たらないのですよ。迎撃できないので、「撃ったら必ず当たるから怖いぞ」ということを見せているのです。彼らからすれば、抑止力を見せているのだと思います。
これで米韓が怯むことはない
飯田)米韓同盟の部分をみると、日本に対して行うのであれば、もっと長距離のものを撃つということですか?
兼原)列島越えやEEZに落とすことはありますけれども、日本は後方基地なので、北朝鮮にとっての目の前はやはり韓国軍と米軍です。彼らに見せないといけないのです。日本が攻めてくるとは思っていません。
飯田)しかし、これで怯む米韓ではありませんよね。
兼原)まったく怯まないですね。「どこまで頑張るのか」という感じだと思います。北朝鮮国内の体制は揺るがないので、とても貧しいのです。国力を全部軍事力に向けている人たちですから、国民は可哀想ですけれども、彼らは彼らで頑張るのだと思いますよ。
飯田)日本に関しては、あまり騒ぎ過ぎない方がいいということですか?
兼原)きちんと見ていなければいけません。万が一、何かが始まったら、日本はアメリカの後方基地になるのです。ミサイルもこちらに飛んできます。注意して見ていないといけない。この類のものを撃たれたら、ミサイル防衛は当たりません。
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