キャスターの辛坊治郎が10月3日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻をめぐって核兵器を使用する可能性を匂わせていることについて、「危機は高まっている。阻止するための知恵を総動員しなければならない局面にきている」と解説した。
アメリカのオースティン国防長官が2日、CNNテレビの番組でウクライナ侵攻をめぐって核兵器を使用する可能性を匂わせるプーチン大統領について、「彼一人だけが決断する。歯止めをかける機能がない」と危機感を示し、ロシアのショイグ国防相に対し「無責任な行動をするな」と警告したことを明らかにした。
辛坊)ロシアが核兵器を使う可能性について、多くの専門家は「それほど高くはない」と思っています。2月24日のウクライナ侵攻のときも、多くの専門家は「いくらなんでも、21世紀の現代社会で、領土欲にかられた独裁者が他国に軍事侵略するなんて、本気でそんなことはしないだろう」と考えていたんですよ。ところが、実際にロシアはウクライナに侵攻しました。
今回も、「プーチン大統領がいくら無茶苦茶なことをやっているとはいっても、実際に核兵器を使うなんてことはまずないだろう」と皆が思っています。けれども、プーチン大統領の頭の中は誰にも分かりません。もちろん、プーチン大統領がある日突然、核兵器を使うことを命じたときに、現場が反乱を起こす可能性もないとはいえません。しかし、プーチン大統領が本当に核攻撃の命令を出す危機が高まっているのは間違いありません。
というのは、プーチン大統領は9月30日、ウクライナ東・南部4州の併合を宣言しました。プーチン大統領は演説の中で、「我々は自分たちの領土と国民をあらゆる手段で守る」と強調しています。世界は今も、この4州をウクライナ領だと見ていますが、ロシアの主張では住民投票も適正に行われており、この4州はロシアの領土だということになります。ウクライナは自分たちの領土を取り戻すために戦っているわけですが、ロシアの言い分からすると「ロシア領にウクライナが侵攻してきたんだ」ということです。
プーチン大統領は、自国が攻撃された場合にはあらゆる手段を取るということを強調してきましたが、今回も同様です。プーチン大統領自身は核兵器を使うとまでは言っていませんが、プーチン大統領の影響下にある政権幹部たちが「自国の領土を守るためには低出力の核兵器を使用すべき段階だ」といったことを公然と言い始めています。恐ろしいことです。
低出力の核兵器は戦術核兵器です。1発当たり5キロトン~数十キロトンの爆発力があります。ロシアはそれを2000発くらい保有しているとされます。ちなみに、広島に投下された原爆は16キロトン程度といわれています。ですから、低出力の核兵器といわれてはいますが、その正体は広島型原爆並みです。都市部に1発投下されたら、何十万人も亡くなるでしょうし、街1つくらいは壊滅します。それを「小さな核兵器」というような言い方でマスコミが語るのは、非常に危険だと思いますね。
低出力の核兵器は戦略核兵器ではなく戦術核兵器ではありますが、その差で論じられるレベルのものではありません。使われたら終わりですから。「プーチン大統領もさすがにそこまで無茶なことはしないだろう」と皆が思っていますが、2月24日のウクライナ侵攻の状況を顧みれば、核兵器の使用は何としてでも阻止しなければなりません。そして、阻止するためにはどうしたらいいか、今こそ知恵を総動員しなければならない局面であることは間違いないと思います。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)