再びの円安も、政府・日銀の「為替介入」が成功している理由

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが10月4日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。再び円安傾向に動く円相場について解説した。

再びの円安も、政府・日銀の「為替介入」が成功している理由

日銀の金融緩和の影響で円相場が下落し、およそ24年ぶりに1ドル=145円台の円相場となった=2022年9月22日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

円相場が一時1ドル145円台半ばまで値下がり

飯田)円相場が一時1ドル=145円台半ばまで値下がりしました。いま足元は144円60銭付近です。9月半ばくらいに介入があり、そこから戻ったというような記事がありました。となると、「あれは何だったのだろう?」と思ってしまうのですが。

クラフト)おそらく財務省の目的は、「過度な円安、スピードの速い円安を食い止める」ということだと思います。ただ、日銀が緩和政策を取っている限り、円安圧力は消えないのです。従って、円高に転換させようということではなく、円安のスピードを緩めることが目的なのです。

飯田)急激な円安を止めることが。

「過度な変動」を抑制するための介入 ~アメリカも過度な変動の抑制に理解を示した

クラフト)もう1つキーワードがありまして、「過度な変動」です。昨日(3日)、鈴木財務大臣もしきりに「過度な変動を抑制する」と言っていました。アメリカの財務省も「過度な変動を抑えることが目的で、理解している」と言っています。先進7ヵ国(G7)のプロトコルがあって、為替水準での介入はご法度なのです。そういう取り決めがあります。

飯田)そうなのですね。では「円安が進んで1ドル145円台だから、介入するぞ」というようなことをやってはいけない。

クラフト)そういうことです。強いて言えば、130円を超えた時点で、日本政府としては「円安水準が進みすぎ」だと。しかしG7、特にアメリカを説得する必要があり、それも過度な変動を抑制するという目的です。その結果、やっとアメリカも理解を示したことで、9月22日の介入になったのです。

飯田)アメリカも理解を示したことで。

クラフト)今後、また再び介入すると思いますが、145円を超えたから介入するわけではありません。改めて過度な変動、つまり1日に1円ないし2円の円安に振れると、介入するという方向になるのでしょう。

飯田)過度な変動があった場合。

クラフト)145円からジリジリ上がっているような場合、介入の可能性は少ないと思います。145円後半ないし146円台になったら、次の介入を注意した方がいいと思いますけれど、大事なのは水準よりもスピードですね。

介入前と介入後で、海外の投機筋の円売り持ちポジションは変わっていない

飯田)145円というラインがあり、そのために政府・日銀が意識させようとして介入した、というようなことを言う人がいますが、意図が違うのですね。

クラフト)政府・日銀の本音としては「145円を守りたい」と思っていたでしょう。「140円ですら進みすぎている」というのが本音です。しかし、G7とも合意がありますので、水準に関しては言及できない。だから「変動」をしきりに主張しているのです。

飯田)市場関係者としては、そのラインに対して挑戦しようとするものなのですか?

クラフト)昨日の会見で鈴木財務相は、「投機筋に対する1つの牽制」と言及しています。介入前と介入後で、海外の投機筋の円売り持ちポジション……どれだけ円を売っているかというのは、変わっていないのです。

飯田)変わっていないのですか。

クラフト)「介入によって円を買い戻す」ということはあまり起きていない。ただ、145円近辺でさらに円安を増加させる、売り圧力を強めるかというと、そこは抑制できています。

飯田)積み増しもしないし。

クラフト)海外勢はいまのところ、145円以上の円安は警戒して、なかなか売り圧力を掛けることはしません。そういう意味で、この介入はとりあえず成功していると見ていいのではないでしょうか。

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