外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が10月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。11月8日に実施されるアメリカの中間選挙について解説した。
11月8日のアメリカ中間選挙
アメリカのバイデン大統領の政権運営や、再選を目指すトランプ前大統領の戦略の行方を占う中間選挙(11月8日投票)まで、10月8日で1ヵ月となる。中間選挙は大統領選の中間の年に実施される連邦議会の上下両院、州知事などの選挙の総称。2022年は上院が補欠選挙を含めて35議席で争われ、知事選は全米50州のうち36州で実施される。下院はすべて改選の形となる。本来は現政権への審判という意味合いが強い中間選挙だが、今回は人工妊娠中絶の是非や、トランプ氏の政治姿勢への評価なども大きな論点となっている。
飯田)一部では特集記事を書いている新聞もあります。
宮家)中間選挙は、新しい政権に対する中間テストですよね。現職大統領の党はだいたい負けるのです。票を減らしたり、議席も減らすのですよね。
飯田)だいたい負ける。
宮家)2022年の春ごろまでは、民主党は大負けするのではないかと言われていました。バイデンさんの支持率も低かった。ところが、状況は夏以降で変わっているようです。
トランプ現象に陰り ~中絶を容認する憲法判断が覆ったことで民主党の支持率が高まってきた
宮家)1つ目のポイントは、トランプ現象の陰りと言うと少し気が早いかも知れませんが、2021年1月6日に議会襲撃事件があり、その際のトランプさんの動きも含めて、かなり批判が高まっています。トランプさんが応援した候補も、必ずしも伸びていないのです。
飯田)応援した候補も。
宮家)2つ目の要素としては、最高裁で長年維持されてきた中絶を容認する憲法判断が覆った。これは意外と大きな影響があって、民主党への支持率がまた高まっているところもあります。
飯田)中絶を容認する憲法判断が覆ったことで。
宮家)実際にアメリカに行って感じたことですけれども、一時はガソリンが1ガロン当たり5ドルを超えていましたが、一部では3ドル台に戻っています。これからまた値段が上がる可能性もありますが、これで一息つける。
上院は民主党が過半数を維持できる可能性が ~レームダックは避けられる
宮家)瞬間的に、民主党はいま頑張れる状況にはなっているのです。いろいろな予想があるので正確にはわかりませんが、多くの予想では4~5つくらいの激戦区があって、流れ次第では、民主党が下院は無理にしても、上院は過半数を維持できるかも知れないのです。
飯田)上院は。
宮家)上院を維持できれば完全なレームダックにはならないので、バイデンさんもそれなりに息を吹き返す部分があるかも知れません。まだ11月のことはわかりませんが、面白い状況になりつつあると思います。接戦が予想されます。
飯田)上院を獲るとなると、予算も含めていろいろできる政策が増えていく。
宮家)上院と下院の両方で法案を通さなくてはいけないわけですから。完全に共和党に主導権を握られる状況ではないと思います。むしろトランプさんの動きが気になります。今回の結果によっては、彼の将来にも大きく影響を及ぼす可能性が高いと思います。
飯田)共和党という党がどうなっていくのかも。
宮家)共和党という党はないのです。いまは「トランプ党」しかない。それが問題なのです。
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