11月9日（水）、よしき皮膚科クリニック銀座院長の吉木伸子先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る！〜」（ニッポン放送・毎週水曜21時～21時20分）にゲスト出演。皮膚科医の目線から「薄毛」の仕組み、正しいヘアケアについて解説した。

年齢を重ねるごとに、髪の毛が薄くなってきたと悩んでいないだろうか。加齢とともに、新しい毛が成長する“成長期”の期間が短縮し、“休止期”が長くなるため、生えている髪の量が少なくなってしまう。大切なのは髪の基本を知り、正しく丁寧に髪を扱うことだという。

「大人のヘアケア再入門」などの著書がある吉木先生に、日常生活でできる薄毛の対処法について聞いた。

■ストレスで薄毛になる

笹井：ストレスは薄毛に影響するということで、ストレスの捉え方が大事なんですよね？

吉木先生：そうですね、ストレスで薄毛になる例は実際にあります。会社を辞めたり、長期休暇に入ったりした瞬間に薄毛が治ったなど。中でも、円形脱毛症はかなりストレスとの因果関係が強いです。

笹井：はい。

吉木先生：まず、「ストレス」とは交感神経にスイッチが入りっぱなしの状態なんです。過剰に体のエンジンがかかっている状態。寝る時間になってもエンジンがかかりっぱなしな状態が、ストレス状態なんですね。

笹井：なるほど。

吉木先生：寝る時間やリラックスする時間になったら、自分でうまく交感神経のスイッチを切ることができるようになれば、ストレスを受けてもストレス性の病気になるということは少なくなってきます。

笹井：交感神経のスイッチの切り方を、自分で工夫することが大切なのですね。

■毛穴に皮脂やフケがつまるから薄毛になるわけではない

吉木先生：なにか詰まっていると、それが邪魔して穴から毛が伸びないんじゃないか……というイメージされる気持ちは分かるのですが。

笹井：そういうイメージありますよね。

吉木先生：でも、それは関係なく伸びます。髪を洗ってだいたい1～２時間すると、皮脂は出てきますので。

笹井：そうなんですね。

吉木先生：拡大鏡で見ると、毛穴が全く詰まってない人はほとんどいないです。普通は詰まっているし、詰まっている方が正常です。皮脂は毛穴からしか出ないし、そこに皮脂があるのは正常なことです。

笹井：はい。

吉木先生：それによって髪が抜けることはないし、それをクレンジングしたり、毛穴の掃除をして髪が生えることもないです。

■20代でもなる「脂漏性脱毛」

吉木先生：これも知っておいていただきたいことで、最近多い「脂漏性脱毛」。これは「AGA」と別で20代でもなります。

笹井：脂漏性脱毛はどんな症状があるのですか？

吉木先生：地肌にかゆみが出てフケが出たり、ちょっと油っぽくてペターっとしたフケが出たりします。これは“頭皮の脂漏性皮膚炎”で、食生活が偏っている方に多いです。外食が多いとか、加工食品を取り過ぎているような方は、なるべく自分で食事を作るようにするといいです。

笹井：食事も含め、習慣の見直しが必要ということですね。

■シャンプーに含まれる「界面活性剤」は必ずしも悪いものではない

吉木先生：界面活性剤そのものは、なるべく使わないに越したことはないんですが、汚れを落とすには必要なもので、現代人として普通に清潔に生きていく為には必要不可欠なものです。シャンプーにはどうしても含まれていて、これがないと頭皮の汚れが取れませんから。

笹井：界面活性剤が含まれてないと、汚れが落ちにくいのですね？

吉木先生：はい、かなり落ちにくいです。シャンプーが全部体に吸収されるわけではなく、微量には吸収しているんですが、安全な物しか市販されていないので、そこは気にしないで使って大丈夫です。

笹井：はい。

吉木先生：界面活性剤が肌のバリアを壊すとか、体に入ってけい皮毒になるとか、そういう話を耳にするかもしれませんが、あれはちょっと過剰な話になっていることが多いので、そんなに神経質にならず、普通に使っていただいていいと思います。

笹井：先生の話を伺っていると、私達がいかにイメージに縛られ、「これはいい」「悪い」と判断しているのだなと思いました。うわさに惑わされず、正しいケアや自分の状態を理解したいですね。

Podcastでの聴取はこちらから。