「沈黙の臓器」の腎臓 末期にならないと症状が出ない病気を防ぐには
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東京都医師会理事で「三軒茶屋病院」院長の腎臓専門医、大坪由里子氏が10月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。腎臓の基本情報について解説した。
握り拳の大きさの腎臓
新行市佳アナウンサー)腎臓について伺いたいのですが、まずは体のどの辺りにあるのでしょうか?
大坪)腰の少し上、背中側の左右に1つずつあります。
新行)大きさはどのくらいでしょうか?
大坪)握り拳くらいの大きさです。
新行)他の臓器と比べると小さいのですか?
大坪)肝臓などに比べると小さいですが、想像しているよりは重量感があります。キドニービーンズという豆があるのですが、そら豆のような感じの握り拳大を想像していただければと。
老廃物や水分の排出以外にも内分泌のような機能を持つ腎臓
新行)腎臓にはどのような役割があるか教えていただけますか?
大坪)いちばんの役割は、体のいらないものを外に出すということです。老廃物の排出、また水分も体に溜まりすぎると膨らんでいってしまいますので、体のなかの水分量を調節し、いらない水分を外に出します。それからもう1つ、あまり知られていないのですが、ホルモンを分泌する機能も持っているのです。
新行)そうなのですか。
大坪)造血ホルモンや、血圧を調節するようなホルモンも出しています。それから、ビタミンDを活性化させる機能もあります。「おしっこをつくる臓器」という印象が強いですが、それ以外にも内分泌のような機能も持っています。
新行)初めて知りました。腎臓の調子が悪くなると、いろいろなところに影響が出てくるということですね。
大坪)そうですね。結局、最終的には全身的にいろいろな障害が出てきますので、悪くすると厳しい状態になってしまいます。
2つある腎臓のうち1つを失っても十分に機能する
新行)腎臓は2つありますが、片方でも調子が悪くなると影響が出てくるのでしょうか?
大坪)大事な臓器なので2つありますが、事故やがんの摘出などで1つを失ってしまっても、1つ残っている腎臓が元気であれば、その方の一生の間はきちんと働いてくれます。
悪くなっても末期にならないと症状がわからない腎臓の病気
新行)肝臓は「沈黙の臓器」と表現されますが、腎臓を表現するとどうなりますか?
大坪)腎臓も同じように「沈黙の臓器」と言っていいと思います。表には見えませんが、365日24時間、コツコツ静かに働いているという感じです。ギリギリまで何とか役割を果たそうと頑張りますので、悪くなっても末期にならないと、なかなか表に症状が出てこないという特徴があります。
新行)症状として出てきたときには、かなり悪化していることが多いのですか?
大坪)そうですね。
健康診断は欠かさず受ける
新行)健康な腎臓を維持するためには、定期的な検査が必要だということですか?
大坪)子どものころは必ず検尿があったと思います。検尿は早期にお子さんがなりやすい腎臓の病気をキャッチできるので、大事なことです。大人になってからも、会社などの健診でも尿検査、また血液検査のなかにも必ず腎臓の項目が入っていますので、健康診断は定期的に受けてください。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます