旧統一教会への「質問権の行使」の発表は、「26年間なにもやっていなかった」ことを宣言するようなもの

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数量政策学者の高橋洋一が11月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。文部科学省の旧統一教会への「質問権の行使」の発表の違和感について解説した。

旧統一教会への「質問権の行使」の発表は、「26年間なにもやっていなかった」ことを宣言するようなもの

【世界平和統一家庭連合(旧統一教会)会見】会見する教会改革推進本部の勅使河原秀行本部長(左)と福本修也弁護士=2022年9月22日午後、東京都渋谷区 写真提供:産経新聞社

文部科学省は11月22日、旧統一教会に対して法人の組織運営や収支、財産に関して12月9日までに報告を求める書類を送り宗教法人法に基づく質問権を行使したと発表した。質問権行使は平成8年にこの規定ができて以来初めて。

飯田)11月21日の宗教法人審議会で行使相当だとする答申が出たことを受けて、永岡文科大臣が通知を発出するということを21日に述べていて22日にそれが正式に出たということのようです。

高橋)「質問権の行使をしました」などという発表をするのかと、まず思いました。その次にびっくりしたのは、平成8年というのは1996年でしょう。26年間もやっていなかったのですか。これは行政の基本なのだけれども、質問権というのはどこにでもありますよ。どんな法律にもあります。仕事をしていなかったのかとまず思ってしまいました。びっくりしますね。こんなことを初めてやるなんて、そしてこれを堂々と説明するなどというのは。いろいろな問題があったときにとりあえず聞くではないか。そこで質問権を使いますよね。それを行使しなかったということは、文科省は26年間何もしなかったのかなと思ったという話です。これは日常的にやる話ですから。文科省のここ(宗務課)の課長をしていてそのあとに事務次官になって辞めた人が、名称変更を受け取らなかったというでしょう。

飯田)統一教会の名称変更。

高橋)受け取らないと言ったのでしょう。受け取らないというのは行政的に少しまずいのですよ。受け取らなくてはいけないという義務があるから。それで疑問があるのだったら質問権を行使するのが筋なのですよ。聞くべきことを聞くだけですよ。「どうしてですか?」と。そしていろいろなことを聞いていけばいいのだけれども。正直に言うとびっくりしますよね。役人的な発想ですけれども。

飯田)法律に規定があるのだからそれを粛々と運用すればよいという話。

高橋)運用しないと書く意味がないでしょう。行政の意味がないでしょう。

飯田)そもそも質問権行使という話が出てきたときに、その基準をどうするといってわざわざ有識者会議を組織してその基準がどうかということをまず審議し、それからこの実際の行使に際して宗教法人審議会という審議をし、答申が出てそして今回ようやく行使という。

高橋)驚きのパターンです。はっきり言えば質問をするだけでしょう。質問をするのだから別に大した話ではないし、それでいろいろな情報を取集してその次のステップに行くというのだけれども、ここは本当に仕事をしない役所ですね。審議会に任せていて。宗教法人審議会などという会は本当はいらないと私は思うくらいです。ここで先に解散請求を裁判所にして、裁判所がそれを判断するのでしょう。なぜずっと文科省が自分のところにボードを持ち続けているのか私にはよく理解できないです。

飯田)法律にまつわる判断、特に信教の自由なども含めて憲法問題になるのであれば、裁判所・司法に委ねるという。

高橋)これは役所が仕事をしたくないときのパターンです。質問権などは本来自分の課で決めるような話なのを、審議会をやって時間稼ぎをしているわけでしょう。何をやっているのかと思います。そんな時間はもったいないから早くいろいろなことを聞いて起訴資料を集めて、そしてすぐ裁判所の方に持っていって判断をそちらに委ねるというのが筋だと思います。

飯田)文科省側は宗務課という所管する課の人数が足りない、9人くらいしかいないというような話をしています。

高橋)9人いるのですか。できますね。だって1個のことでしょう。課長がいるのだから、少なくとも1人いればできます。いろいろな資料を集めて早く裁判所の方に持っていかないとことが進まないですよ。

飯田)質問権がどんなものかという中身についてはざっくりしたものしか報道では出てきておりませんけれども、文科省側は財産等に関する書類、帳簿の報告、それから規定文書を求めるという。厚労省からは都道府県から許可を得ずに養子縁組のあっせんを行った可能性があるということです。あるいはその養子縁組で日本人のカップルから生まれた子供が海外に行っているのではないかというような話も含めて出てきたようです。

高橋)質問権は何だっていいわけで、法の目的の調査ということですから、広くカバーできるはずですよね。だからそれは自分の省庁でできなければほかの省庁のものも聞く。ただ聞くだけですからね。そんなに難しくないと思いますけれどもね。

飯田)高橋さんは外為法が1つ有効に使えるのではないかという話をされていましたよね。

高橋)送金していたから、その質問をする。それは文科省がやるのかどうかわかりませんけれども、送金の話について先ほどの収支財産に関する書類のなかで入っているはずですけれどもね。やはりどこでどういう風に送金したのかとか、したのかしなかったのか。しなかったのならどこにお金があるのかという話ですよ。

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