打倒スペイン! 日本代表を救う長友佑都の「鬼メンタル」

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回はサッカー・カタールW杯で、日本代表の最年長選手ながら、先頭に立ってチームを鼓舞する36歳・長友佑都選手(FC東京)にまつわるエピソードを紹介する。

打倒スペイン! 日本代表を救う長友佑都の「鬼メンタル」

【サッカーカタールW杯2022 日本代表練習】長友佑都=2022年11月29日 ドーハ 写真提供:産経新聞社

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『グループリーグ突破してまたどでかい声でブラボー言ったるからな』

~長友佑都・公式ツイッター(2022年11月28日のツイート)より

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毎日熱戦が続くカタールW杯、日本はグループリーグ初戦でドイツを下しながら、続くコスタリカ戦に敗れ1勝1敗。2戦を終えた段階で勝ち点3、グループEの2位につけています。最終戦の相手はスペインで、勝てば決勝トーナメント進出。負けるとグループリーグ敗退が決まります。

引き分けだとドイツvsコスタリカ戦の結果次第になりますが、ここはドローに持ち込んで他力本願、ではなく「スペインに絶対勝つ!」と腹をくくって戦うしかありません。

スペインに勝つのは至難の業ですが、「勝ってグループリーグを突破する!」と宣言。前向きな発言でチームを鼓舞しているベテランがいます。今回が4度目のW杯出場、日本代表最年長の36歳・長友佑都です。

開幕前、金髪だった髪を「日の丸」の赤に染め直したり、ことあるごとに「コラッジョ、コラッジョ!」(イタリア語で「勇気」)とチームメイトを鼓舞している長友。

ドイツ戦の中継を観ていて印象に残ったのは、長友が交代しベンチに下がったあとも、誰よりも声を出し、得点シーンでは飛び上がって喜び、スタンドに向かって「もっと声援を!」と煽っていたことです。ピッチから退いても、長友はつねに戦っているのです。

ドイツ戦勝利後のインタビューでは「ブラボー! ブラボー!」を連発。チームの士気を高めるにはこういう盛り上げ役が必要ですが、それをチーム最年長の長友が自ら買って出ていることに驚きます。なかなかできないことです。

コスタリカ戦終了後、ツイッターは悲観的なツイートの嵐になり、選手個人を誹謗中傷するツイートも多数見受けました。冒頭で紹介した長友の「またどでかい声でブラボー言ったるからな」というポジティヴなイートは、そういったネガティヴなムードを吹き飛ばすパワーがあります。

「スペインにそう簡単に勝てるわけがないだろ」「願望だけならいくらでも言える。なら本当に勝ってみろ!」という声が出ることは承知の上。批判を有言実行へのエネルギーに変えるのが、長友の長友たるところです。

コスタリカ戦終了後も、長友は実力を発揮できなかった若手選手たちを庇い、こんな発言をしています。

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『負けたことも含めて、一番経験している僕の責任は大きい。若手が躍動できなかったりしたことは、僕の雰囲気づくりも甘かったと感じています。上手くいかなかった選手らに批判が出ていると聞いています。当たり前のことですが若手選手ではなくベテラン、僕ですね。もっと批判が来るべきだと思います』

~『GOAL』2022年11月28日掲載記事 より

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長友いわく、自分が若手のときは、中村俊輔はじめベテラン勢が「他のことは俺たちがやるから、お前らは試合に専念しろ」と声を掛け、励ましてくれた。今度は、W杯に4度出場している自分がその役目をする番だ、と。

その役割を十分に果たせなかったことを反省する発言ですが、にしても「もっと(自分に)批判が来るべきだと思います」とまで言う選手は彼ぐらいでしょう。なぜ長友は自ら批判を求めたのでしょうか?

長友は先日『[メンタルモンスター]になる。』(幻冬舎)という本を出版しました。著書のなかで長友は、5年前、イタリア・セリエAのインテルに在籍していたときのエピソードを紹介しています。

2017年4月、長友はナポリ戦でクリアミスを犯し、相手に決勝点を献上。その敗戦で、インテルはチャンピオンズリーグ出場だけでなく、ヨーロッパリーグ出場も逃すという致命的なミスを犯しました。

試合後、大いに凹み、チームメイトに謝った長友。しかし切り替えは早く、家に帰るまでの車中で「どうしたら、ああいうミスを防げるのか」「今後どう練習に取り組んだらいいか」を考えたと言います。反省すべきことはして、いつまでも引きずらず、次に活かす。大事なことです。

ただ長友の場合は、それだけで済ませませんでした。何と、こんなツイートをアップしたのです。

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『ナポリ戦自分のミスで負けた。これがサッカー。1つのミスで勝敗が決まる。転んだら立ち上がればいい。俺はまだまだ強くなれる。』

~長友佑都・公式ツイッター(2017年5月1日のツイート)より

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これを見て「お前、あんな凡ミスしといて、なに言ってんの?」と怒った人も多く、実際このツイートは大炎上しました。長友も、そういう反応が返ってくるのは承知の上。ではなぜ、こういう煽るようなツイートをしたのでしょうか? 長友はその理由について、こう記しています。

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『ミスをしてしまう未熟な自分をより成長させるためのエネルギー。それは、素直な思いを吐露したときに、返ってくる賛否の声だ。ときにはそれが厳しい批判であったとしても……いや、批判だからこそ、かもしれない。勝利を願ってくれたサポーターの厳しい声を真摯に受け止めつつ、反骨心のエネルギーにする』

~長友佑都『[メンタルモンスター]になる。』(幻冬舎)より

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あえて自分への批判を求め、それを成長への糧にする長友の向上心と「鬼メンタル」、これが36歳でも現役を張っている原動力です。日本の選手には、こういう逞しさ、打たれ強さが不足しているようにも思います。だからこそ、長友は先頭に立ってチームを盛り上げているのです。

長友はスペイン戦を前に、記者団の取材に応じ、こう語っています。

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『日本では批判も起きて、ドイツ戦とはだいぶ真逆の状況になっていると思う』

『スペイン戦で絶対にいい結果を残して、絶対に突破するので、その時は皆さんも3150(サイコー)倍の称賛でたたえてほしい。その力が、そのパワーが日本代表に注入されて前に進む、前進する力に確実になる。その時はお願いしますね。突破します』

~『デイリースポーツonline』2022年11月29日掲載記事 より

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もう一度言います。日本はスペインに勝てば、“自力で”グループリーグを突破できるのです。奇跡は起きるのではなく、起こすもの。最後に、長友のツイートをもう1つ紹介しておきましょう。

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『諦めない心に夢宿る。』

~長友佑都・公式ツイッター(2022年11月24日のツイート)より

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