「日銀の事実上の利上げ」は岸田総理の「脱安倍」の一環か

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作家で自由民主党・参議院議員の青山繫晴と数量政策学者の高橋洋一が12月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日銀が踏み切った事実上の利上げについて解説した。

金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀・黒田東彦総裁=2022年9月22日午後、日銀本店 写真提供:産経新聞社

日銀が事実上の利上げ、岸田総理大臣の意向が影響か

日本銀行が長期金利の上限を引き上げ、事実上の利上げに踏み切ったのは、柔軟な金融政策に向けて共同歩調を促す岸田総理の意向が影響したとの見方が出ている。急激な円安が物価高に拍車をかけ、政府内には2013年に始まったアベノミクスの「異次元の金融緩和」は修正が不可避との認識が広がっていると、時事通信が報じた。

飯田)黒田さんの任期は2023年4月までですが、どうご覧になりますか?

高橋)驚いたというのが正直なところですね。

飯田)日銀が資産の買い入れ、特に国債の買い入れを行っているなかで、国債利率の誘導目標の幅を広げるというのが、今回の政策の主旨でした。黒田さんは「利上げではない」とおっしゃっていますが、どう見たらいいですか?

青山)その黒田さんが、9月には「これは利上げになる」と言っていたのですよ。はっきり言って無茶苦茶です。

飯田)幅を広げれば利上げになるという。

青山)私は黒田さんを評価していたのですけれども、高橋さんが驚くくらいですから、私も驚きました。

今回のことで崩れたマーケットとの信頼関係 ~世界中で「ミスター黒田の言うことは信用できない」

青山)住宅ローンの金利引き上げは必至だろうと思いますし、中小企業の貸出金利もおそらく上がります。これは黒田さんが一生懸命回避してきたことを、事実上やってしまうということです。おそらく岸田総理による「脱安倍」の一環だと思います。

飯田)脱安倍。銀行筋を取材すると、「来月分の住宅ローンの金利をどうするか」ということを議論している最中で、稟議が通るか通らないかという時期であり、驚いて急遽、という会社も多いようです。

青山)サプライズを狙うのは金融政策の常道ではあるけれども、マーケットとの信頼関係は壊れましたよね。2023年春まで、「ミスター黒田の言うことは信用できない」という認識が世界に広がっている。その意味でも、私はやはり打撃だと思います。

「利上げではない」と言っても10年金利は上がっている ~円高になり、企業収益は下がり、株価も下がる

飯田)高橋さんはいかがですか?

高橋)「利上げではない」と言ったって、10年金利は上がっているのだから利上げでしょう。

飯田)実際に0.5%近傍まで来ていますものね。

高橋)9月には「上限を上げたら利上げになる」と黒田さんは言っていました。

飯田)そうですね。

高橋)その結果、予想通り円高になっています。円安の方が企業収益は伸びるのですが、それも落ちるでしょう。株価も下がるという予想通りのことが起きています。よく実施しましたね。

「安倍さんのいない時代を自分でつくりたい」という岸田総理の野心の表れ ~黒田総裁の敗北

飯田)時事通信の報じ方ですけれども、総理の意向が影響しているのではないかということです。

青山)岸田総理を含めた黒田包囲網だと思います。

飯田)黒田包囲網。

青山)安倍さんが残した大きな遺産の1つが、黒田日銀です。アベノミクスだけではなく。黒田さんはアジア開発銀行の総裁を務めていました。そのため外に出られていたのですが、それを(本部のある)マニラから呼び戻したのが安倍さんでした。

飯田)呼び戻したのが安倍元総理。

青山)そういう人事を含めて、すべてを崩していく。「安倍さんのいない時代を自分でつくりたい」という岸田さんの野心の表れでもあると思いますし、それに黒田さんが負けたのでしょう。黒田さん自身が裏切ったというよりは、敗北ではないかと思います。

飯田)こうせざるを得なくなってしまった。

高橋)この手の話になると、総理が相談するのは間違いありません。総理に言われたらやりますよ。黒田さんはもともと官僚なので指示に従うのです。総理と日銀総裁であれば、総理の方がパワーはありますからね。そうでなかったら、直前に言った話をひっくり返して「利上げではない」などと言えないですよね。

「先手を打つ」と言うと景気の芽を潰すこともある ~金融政策のセオリーからも外れている

飯田)利率が上がり、住宅ローンあるいは中小企業の資金繰りも含めて苦しいことだらけで、しかも円高に振れてしまい、企業収益も悪化するという。いいことが1つもないのに、よくこんなことをやりますね。

青山)「日米の金利差を縮めて為替を落ち着かせたい」という理屈は立つのだけれども、高橋さんがおっしゃった通り、実際は円安のメリットを自ら打ち消すわけです。「いまがその時期なのか?」ということです。

高橋)まったく違います。よく「先手を打った」という言い方をするでしょう。しかし、金融政策に「先手を打つ」という考え方はあまりありません。英語では「ビハインド・ザ・カーブ」と言いますが。

飯田)ビハインド・ザ・カーブ。

高橋)要するに「金利曲線に遅れていく」という意味です。例えば、消費者物価指数が4~5%くらいになってから利率の引き締めをするというのが普通です。

飯田)先に事実が進んで、追いかけていく形ですか?

高橋)追いかけた方がいいわけです。「先手を打つ」などと言うと景気の芽を潰すこともありますから。どちらかと言うと「追いかけていく」のが普通ですが、そういうセオリーからも外れている。驚きましたね。

飯田)ここ30年を見ると、「先手を打つ」というかっこいい言葉で……。

高橋)無理です。

飯田)景気がいつの時代も潰されているような気がするのですけれど。

青山)何でも常套句はダメです。「先手を打つ」とか「安定財源」とか、嘘が多いわけですよ。

政府内で「やっていることと言っていることが違う」 ~「閣内不一致」では国民が戸惑う

飯田)「2023年の経済見通しは1.5%成長」という情報が内閣府から出てきましたけれども、どう持っていきたいのでしょうか? 増税の話も出るし、気持ちを冷やす話ばかりな気がします。

青山)政府内が分裂しているのです。内閣府が7月に経済財政諮問会議に報告した見通しでは、防衛増税に関連して、総理がおっしゃっている2027年までを見ると、いちばん悪くても「単年度で約9000億円の税収が増える」ということです。うまくいけば、「単年度で2兆4500億円の税収が増える」と言っているのに、なぜ増税なのですか?

飯田)その増収分で十分賄えてしまうという話になりますね。

青山)私が自由民主党の会合で財務省に言ったのは、同じ政府内で「やっていることと言っていることがぜんぜん違うではないか」ということです。「閣内不一致」は政治家だけの問題ではありません。行政官庁がバラバラだと、主権者である国民の方々はどうしていいかわからなくなります。

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