数量政策学者の高橋洋一が12月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2022年~2023年のキーワードとして選んだ「倍」について解説した。
高橋洋一が選んだキーワード「倍」
飯田)高橋洋一さんが「2022年~2023年のキーワード」として選んだのは「倍」です。
高橋)安倍晋三さんの「倍」を取って「倍」にしました。
飯田)安倍さんの「倍」の字を取ったのですね。
岸田総理はもう一度「所得倍増」を掲げるべき ~インフレ率を4%に引き上げれば「倍増」は不可能な目標ではない
高橋)「倍」にもいろいろとあります。経済の話をすると、岸田さんが去年(2021年)出てきたときに「所得倍増」と言ったではないですか。
飯田)言いましたね。
高橋)あれは「いい」と思ったのです。所得を倍増させることは、それほど難しい話ではありません。実質経済成長率は大体2%ぐらいあるから、インフレ率を4%ぐらいに引き上げれば、名目経済成長率が6%ぐらいになるのです。
飯田)インフレ率を4%に引き上げれば。
高橋)6%になると12~13年で倍になるので、不可能な目標ではありません。いいやり方だと思ったのですが、突然やめてしまったでしょう? もう1回「所得倍増」と言ってもらえばよろしいかなと思って、来年(2023年)のキーワードにしたわけです。
飯田)「資産所得倍増プラン」と言っています。
高橋)所得倍増をやめて、前に「資産」と付けて「資産所得倍増」にしたのは、ずるいですよね。大きく「所得倍増でいってください」と思います。
飯田)「資産所得倍増」と言われても、そもそも手元に資産がなければ倍増できませんよね。
高橋)(名目経済成長率が)7%だと難しいけれど、6%ぐらいなら手が届くと思いました。
防衛費の倍増 ~GDP比2%へ
高橋)でも、ウクライナ情勢や安倍さんの事件の影響で国防意識が強くなり、防衛費を国内総生産(GDP)比1%から2%に増やそうとしている。これは倍増ですね。
飯田)確かにそうですね。
高橋)でも、また財務省が48兆円のところを43兆円ぐらいにしたから、本当に2%に届くのかなと思います。防衛費の定義を膨らませたりもしているので。
飯田)実質的に2%になるのかと。
高橋)実質的に倍増させなければいけません。さらに言うと、日本の周りにはロシア・北朝鮮・中国と非民主国家が3つあります。「仮想敵国1つでGDP比1%」がいままでの相場だったので、3倍増にしてもいいのではないかと思います。
飯田)そういうところが相場なのですね。
高橋)3倍増でよろしいと思うのです。
「反撃能力」は倍返しということ
高橋)防衛3文書のなかに「反撃能力」があったでしょう?
飯田)反撃能力。
高橋)敵基地で言わなくてはいけないなど、いろいろなことがあるのだけれど、反撃能力は簡単に言うと「抑止力」の話です。抑止力が何で成り立っているかと言うと、「倍返し」です。「やられたら倍返しするぞ」と言うと相手は攻撃してこない。
飯田)なるほど。
高橋)だから「倍返し」という意味で「反撃能力」と書いてあるのならばいいと思います。ただ反撃能力とすると、いろいろな制約があるから、私のように自由には喋れないらしいのですよ。
飯田)制約があって。
高橋)いろいろあるようですが、はっきり言って「倍返し」で反撃能力は成り立っているのです。
飯田)なるほど。
長期金利倍増で変動金利の人は、住宅ローンの支払い金利が倍に
高橋)倍になると嫌なこともあります。最近、日銀の金融政策決定会合があり、(これまでの)長期金利は±0.25%程度でした(※編集部注:日銀は長期金利の許容変動幅を±0.25%程度から±0.5%程度に拡大すると発表)。
飯田)そういう幅でした。
高橋)上に張り付いているに決まっているから0.25%で、これを±0.5%に上げて倍増。
飯田)確かに倍増ですね。いまはもう0.48%や0.49%ぐらいになっています。
高橋)変動金利の人は、住宅ローンの支払い金利が来年から倍になるかも知れない。固定の人には関係ありませんが。
復興増税をきっかけに消費税を最終的に20%に上げる狙いも
高橋)あと嫌なのは、消費税はいま10%ですが、今回の復興増税をきっかけに15%まで上げて、最終的に20%にする。これも倍です。
飯田)20%まで上がりますか?
高橋)狙っているのです。嫌な話です。負担を倍にするのであれば、「所得も倍にしてくれ」と思います。その方がすっきりするのですよ。所得が倍になれば、防衛費もみんな簡単に倍にできます。
飯田)確かにそうですね。
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