中国が日本と韓国に対してビザ発給停止措置を取る「2つの理由」

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ジャーナリストの須田慎一郎が1月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国における新型コロナウイルスの感染状況について解説した。

中国が日本と韓国に対してビザ発給停止措置を取る「2つの理由」

抗原定量検査の会場に向かう中国からの到着客ら=2023年1月8日午後、成田空港 写真提供:産経新聞社

有効率は10%以下と考えられる中国製ワクチン

中国の旧正月である「春節」の大型連休が1月21日から始まる。中国政府は春節期間中に、のべ21億人が帰省などで移動すると予測。帰省や旅行で移動が活発になることで、新型コロナウイルスの感染拡大が危惧されている。

飯田)ゼロコロナ政策を撤廃して1ヵ月以上になりますが、既に感染が爆発しているという話もあります。

須田)大前提として、日本の厚生労働省から聞いたのですが、そもそも中国製ワクチンの有効率は当初から10%以下だと考えられているそうです。打ってもほとんど効果がなく、これだけ移動範囲が広がってくると、感染が爆発してしまう。なおかつ重症化を抑える効果もないので、重症化・死亡するリスクが高まっており、当然の流れなのかなと思います。

新型コロナに関する正確なデータを公表しない中国 ~遺伝子配列を分析しなければウイルスの特性がわからない

飯田)正確なデータが発表されないと言われていましたが、1月14日の会見では「1ヵ月で6万人が亡くなった」という数字が出てきているようです。

須田)重要なデータと言われていますが、感染者数や死者数、致死率などのデータを出せと言っているわけではないのです。日米首脳会談でも中国側にデータの開示を求めましたが、どのようなタイプのウイルスの感染が拡がっていて、その遺伝子配列はどうなっているのか。つまり「どのような形で変異しているのか、していないのか」というデータを提供しろと言っているのです。しかし、そのような肝心要のデータが出てきません。

飯田)変異株があるのかどうか。

須田)最も怖いのは、ウイルスの特性として、変異するごとに感染力は強まるけれども、毒性は弱まります。ただし、弱まりはするのですが、何か特殊な変異があるのかないのか、毒性がどこに出てきているのかなどは、やはり遺伝子配列をもとに分析しないとわからないところがあります。

中国でのウイルスの特性がわからない以上、中国に対する水際対策を強化せざるを得ない

須田)そこがまったくのブラックボックスに入っている状況であれば、中国以外の国々が警戒感を強めるのは当然の話だと思います。

飯田)ゲノム解析に関しても、民間の受託解析企業に配列の解析を禁止するなど、臭い話がたくさん出てきていますよね。

須田)その辺りのデータ開示が不透明だから、水際対策を強化せざるを得ないのです。特殊に変異した変異株が入ってくることになると、日本でいま接種しているワクチンが効くのかどうかという話にもなります。

飯田)特殊な変異株が入ってくることになれば。

須田)ようやく出口が見えてきた段階なのに、水泡に帰してしまう可能性もあります。中国が日本の対応や諸外国の対応に不満を持つのであれば、データを開示するべきだと思います。

日本と韓国に対してのビザ発給停止措置は他の国へのブラフか

飯田)我々は水際対策を感染症対策として行っていますが、中国側の反応は日本人と韓国人を狙い撃ちにして、ビザの発給を停止しています。これは人種や国籍への差別に当たるので、まったく別の話になってしまいますよね。

須田)法治国家とは思えないような対応ですよね。「中国に対して批判的な対応を取ると、他の国々にも同じような対応をするぞ」という、ある種の大きなブラフなのかなと思います。

飯田)日本や韓国と同じようにするぞと。

須田)逆に考えれば、諸外国がそのような対応を取っているという情報が中国人のなかで共有され始めると、それが政府批判として跳ね返ってくる可能性もあります。その辺りで強硬策に出ざるを得ない状況なのだと思います。

飯田)政府批判につながらないようにと。

中国での感染拡大が「新型コロナの5類相当への引き下げ」阻止に悪用されている部分も

須田)ただ、このような動きが日本国内でも悪用されている節があるのです。今春の段階で、「2類相当から5類に下げよう」という議論が出てきています。だからといって、すべてをフリーハンドにするわけではなく、基礎疾患のある人や高齢者に対処すればいい話であり、全部が全部対処する必要はないのです。

飯田)リスクのある人を除けば。

須田)5類に引き下げていこうという方向になっているのに、「中国があんなことになっているのだから拙速ではないのか。もしかしたら予測し得ないような変異株が入ってくるかも知れないのだから」と、分類の引き下げへのブレーキに利用されているような部分があります。

飯田)2類・5類の話や、一部を緩めた方がいいのではないかという話は、前々から議論はあるけれど進まないですね。

須田)ワクチン接種の費用を誰が負担するのか、あるいは治療費を誰が負担するのかなど、最終的なところで決着がついていません。医師会を中心とする医療界は、公費負担の構造を残しておきたいところがあるのだと思います。

飯田)2類として「ガチッ」と決まっているのではなく、「相当」という単語が付いていて、基本的にはオーダーメイドにできる。運用面では一部5類に近いものもあるというお医者さんからの指摘もあるので、費用の部分だけを変えるのもできないことではないと思うのですが、どうなのでしょうか?

須田)費用の話になると、財務省も抵抗してきますから、その辺りの折り合いをどうつけるのかという問題もあるのだと思います。

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