地政学・戦略学者の奥山真司が1月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「GYAO!(ギャオ)」のサービス終了を受け、最近のストリーミングサービスや動画サイトの状況について解説した。
インターネット動画配信サービス「GYAO!」が3月で終了
ヤフーやLINEを傘下に持つZホールディングスは、インターネット動画配信サービス「GYAO!」を3月31日に終了すると発表した。GYAO!の前身「GyaO」は、2005年に通信事業を手掛けるUSENの動画配信サービスとしてスタート。2009年にヤフーが買収した。映画やドラマなどを広告付きで無料配信する他、有料のレンタルサービスを展開してきたが、人気ドラマなどの獲得に多額の資金が必要となり赤字が続いていた。
競争が激化するストリーミングサービス
飯田)今後はLINEの動画プラットフォームに経営資源を集中させるとも言われています。時代の変化ですかね。
奥山)気になるのはストリーミングサービスですね。NetflixやAmazon Prime Videoなども既に出てきたということが1点目です。
飯田)ストリーミングサービス。
短時間の動画しか観られなくなってきた
奥山)もう1つは動画サイトの状況です。大きな収益をあげていると言われていたYouTubeですが、最近はTikTokなどの短時間の動画にその座を奪われつつある。世界はスマホを中心に動いてきている印象を受けますね。
飯田)YouTubeもショートが数年前からあります。
奥山)そうですね。これは全般的に言えることですが、我々は1つのテーマのものを長時間続けて観ることが苦手になっているのです。
長い動画は「タイムパフォーマンスが悪い」から観ない若者が増加
奥山)学生などがよく言っているのですけれど、「タイムパフォーマンス」を略して「タイパ」と言うではないですか。
飯田)タイパ。
奥山)「タイパが悪いから長い動画は観ない」と言っています。長い動画と言っても、せいぜい10分くらいですよ。でもそれはタイパが悪いから1分、下手をすると15秒くらいの動画がいいと。大事なところだけ観たいという人たちが多いと聞きました。
飯田)15秒。
奥山)私などは世も末だなと思ってしまう部分があるのですけれど、観る方々の傾向がだいぶ分散化していて、いまは短くなる傾向がある印象です。
飯田)映画も2倍速で観るという話を聞きます。
奥山)1.5倍速とかですね。私などは信じられないのですけれど、そうしないとタイパが悪いと言われてしまうわけです。
広告収入がピーク時の1割になったYouTuberも ~IT業界のメディアの勢力図が変わりつつある
奥山)YouTubeの方でも気になる傾向があります。ラファエルさんという有名なYouTuberの方がいるのですが、白い仮面を被っていて、その界隈では有名な方です。
飯田)有名なYouTuberの方ですね。
奥山)その方が数年前のピークのときに比べると、自分の広告費から出る売り上げがたった1割になってしまったという話をしていました。
飯田)1割。
奥山)あのYouTubeでさえも、TikTokに顧客を奪われている。若者はTikTokしか観なくなってしまっているのです。一瞬でIT企業でさえも、例えばFacebookは現在Metaという名前になっていますけれど、Amazonも含めて、世界規模で1万人以上をリストラすると言っているではないですか。
飯田)そうですね。
奥山)そのくらい、業界のメディアの勢力図が劇的に変わりつつあるのです。そのなかでギャオのようなものは淘汰されざるを得ないのかなと、残念な気持ちはあります。
短時間化に向かわなければならないコンテンツ業界
飯田)ウクライナも、映像をどう出して印象付けるかなどに気を使っていますよね。
奥山)気を使っていますね。みんなが何を観ているのかを把握し、時間の奪い合いのようになっている。コンテンツ業界も短時間化に向かわなければならない部分は、時代の流れだなという感じがします。
政治における動画の使用
奥山)自民党などは安全保障上の問題があるからだと思いますが、TikTokなどの動画にはあまり力を入れていないですよね。
飯田)そうですね。
奥山)ところが、新しく出てきた参政党やNHK党などは、TikTokやYouTubeに注力しています。若者たちはTikTokなどの動画を観ていて、上の世代は従来のテレビやラジオから情報を得ている。非常に印象的ですね。今後は政治の部分もケアしていかなければならないと思います。
飯田)そうすると、自分たちの主張を本当に短くまとめなければいけないことになりますね。
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