数量政策学者の高橋洋一が1月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。防衛費増額への財源について解説した。
岸田総理、防衛費増額を賄う増税について「丁寧に説明する」と強調
通常国会は1月24日午後、参議院本会議で岸田総理とすべての閣僚が出席し、令和3年度決算についての質疑が行われた。岸田総理は防衛費増額に伴って不足する財源を増税で賄う方針について、国会審議を通じて丁寧に説明していく考えを強調した。
飯田)また、増税の前に衆院解散・総選挙に踏み切る可能性に関しては、「どのように国民に信を問うかは、時の総理大臣の専権事項として適切に判断する」と述べました。
高橋)丁寧に説明するのであれば、「施政方針演説で説明すればいいのに」と思いました。いちばんいい場でしょう。
飯田)そうですね。
高橋)そこで言わないのは何なのでしょうか?
自民党の特命委員会で防衛費増額の財源を議論
高橋)予算案が出たあとというのは、少し異例なのです。財源確保法案は予算関連で出るはずです。本来であれば昨年(2022年)ですっきり終わっているはずなのに、手続きのミスなのでしょうが、まだ終わっていません。だからいまでも萩生田政調会長が委員長になって、特命委員会として行っているのです。先日は平場もありましたし。
飯田)平場というのは全議員から関心のある議員が集まって出席し、誰でも発言できる場です。
高橋)役員の検討などはあまり表に出ないのです。表に出したら国会で攻められますから。
飯田)「党内不一致」ではないかと。
「60年償還ルール」を一時的に撤廃し、国債整理基金特別会計を防衛力強化資金に繰り入れれば、防衛増税は必要なくなる
高橋)党内できちんと手続きできていなかった状態が表に出ているわけです。率直に言うと、いま話題になっている「60年償還ルール」がありますよね。
飯田)国債の。
高橋)あれを一時的に撤廃する。2023年度予算では、16.4兆円の債務償還費があるけれど、実はこれを他のところに繰り入れることができるのです。債務償還費をどこに繰り入れるかと言うと、もともと国債整理基金特別会計というものがあります。予算で一般会計の歳出は立っていて、他のものはすべて国民に配るのだけれど、これは国債整理基金特別会計として国のポケットに繰り入れるのです。
飯田)政府が支出してどこかにお金が行く。
高橋)行き先は間違いなく国のポケットです。右のポケットか左のポケットなのです。左のポケットにはもう1つ、防衛力強化資金がある。そこに繰り入れればいいのです。そうすると防衛財源確保法案はほとんど意味がなくなるし、防衛増税は全部吹っ飛ぶのですよ。
飯田)なるほど。
高橋)「それで何が悪いのか?」ということです。「国債整理基金特別会計を他に繰り入れたら国債が暴落する」と財務省は言うのだけれど、私は財務省のなかでこれを何回も破った常習犯なのです。
飯田)そうなのですか?
高橋)11回やりました。そのうち3回くらいは私の関連です。財務省からは、それをやると「国債が暴落する」と言われたのですが、「暴落しない!」と言って進めてしまいました。そうしたら、全然暴落しなかったのです。
飯田)何に使ったのですか?
高橋)他に使いました。いろいろと。
先進国で「60年償還ルール」で償還費を積んでいる国はない
飯田)前例はあるのですか?
高橋)11回あります。今回は12回目をつくるかどうか、それだけの話ですし、過去11回は何の問題もないですから。
飯田)なるほど。
高橋)まず大丈夫ですね。他の国でこんなことをしているところはないから、まったく大丈夫です。
飯田)「60年償還ルール」で償還費を積んでいる国は、先進国にはない。
高橋)ありません。「国債償還が滞るではないか」と言うけれど、国債整理基金特別会計では借換債という国債を出せるから、何の問題もないです。償還資金のための借換債を出すという意味で、まったく何の問題も起こりません。過去11回も行ったことがあるのに、12回目ができないというのは信じられないです。そんなことになったら予算が混乱するでしょう。
飯田)確かに。
高橋)予算組み替えでも私はいいと思うけれど、財務省は絶対に嫌だと言うでしょうね。
飯田)なるほど。でも国民からすると、「他からそうやってお金が出てくるのであれば、まずはそちらをやってよ」と思いますよね。いきなり増税ではなくて。
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