キャスターの辛坊治郎が2月7日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。日産自動車と企業連合を組むフランス大手ルノーが日産への出資比率を引き下げ、互いの比率を対等にするなど新たな提携戦略を公表したことをめぐり、「ルノーが電気自動車(EV)開発で世界的に後れをとり、局面が変わった」と解説した。
日産自動車、ルノー、三菱自動車の3社連合は6日、中南米やインド、ヨーロッパでの協業や日産とルノーの出資比率を15%の対等に備えることなどの内容を盛り込んだ新たな提携で合意したと発表した。高い価値を創造する一連の事業プロジェクトを世界で展開していく計画の立案、各社が新規の大プロジェクトを柔軟に開始できるようにすること、そしてルノーと日産の資本持ち合いのリバランスの3点が柱になるという。
辛坊)日産自動車はもともと、日本を代表する自動車メーカーでしたが、倒産寸前まで追い込まれました。そこへ救いの手を差し伸べたのがルノーです。多額のお金を日産に投入するとともに、カルロス・ゴーン氏を経営者として送り込みました。ゴーン氏は辣腕を発揮し、日産の建て直しに成功しました。
一方で、ルノーは日産の親会社となりました。そのルノーの最大株主はフランス政府です。こうした関係から、日産側にはフランス政府から間接的に支配されるのではないかという危機感がありました。ここで、日産とルノーの緩衝材となっていたのがゴーン氏です。しかし、ゴーン氏が2018年に逮捕されて以降、日産とルノーの均衡は崩れ、対立が表面化しました。フランス政府もあからさまに日産へ介入するようになりました。
日産はルノー株の15%を持っているにもかかわらず、株主としての権利を行使できない状況が続いていました。日産はルノーよりはるかに儲かっているにもかかわらず、莫大な配当金をいわば上納する構図が続いてきたわけです。
局面が変わった要因は、ルノーがEVの開発で世界的な後れをとったためです。EVに莫大な投資をしたいけれども、その資金がルノーにはありません。そこで、ルノーが白羽の矢を立てたのが、日産のEV技術です。逆に、日産からしてみれば、EVの技術力と引き換えに経営権を取り戻す絶好のチャンスが生まれました。そこで浮上したのが対等出資というわけです。
具体的には、ルノーは保有する日産株を43.4%から15%へ引き下げます。ルノーは売却予定の日産株式28.4%をフランスの信託会社に移し、日産は日産株売却先の筆頭候補になります。また、ルノーが設立するEVの新会社に対し、日産が最大15%を出資します。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)