数量政策学者の高橋洋一が2月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米海軍が残骸を回収した中国の偵察気球について解説した。
中国の偵察気球の残骸が米海軍により回収
飯田)アメリカ本土上空を飛行した中国の気球が撃墜された一件で、海上に浮かんだ残骸の一部を回収したと報じられています。中国側には引き渡さないということです。小型ジェット機並みの大きさだったという報道もあります。
高橋)下に付いているものが約30メートルで、上の気球はもう少し大きい。
飯田)気球本体は風船の部分が大きいようです。
高橋)中国は格好が悪いですよね。偵察は見えてしまってはいけません。ただ、軌道が低いから電波をよく拾えるのです。衛星では電波が拾えません。いろいろなところにもあるから、気象観測用のはずがないですよね。
日本の場合は法整備できておらず、首相が撃墜命令を出すことができない
高橋)アメリカは大統領命令があれば一発で撃墜できますが、日本の場合はできないのです。
飯田)日本の場合はできない。
高橋)いろいろな人に聞いたら、法制度の整備ができていないそうです。領空侵犯があったときは、まず無線で警告して警告射撃を行う。しかし、気球は無人だから意味がありません。
飯田)反応しないですよね。
高橋)その次のマニュアルがないらしいのです。これは大変な話です。普通の国なら命令だけですべて動けるのだけれど、日本はそういう法制になっていないらしいので、一刻も早く法整備するべきです。
危害があるかどうかがわからないので対応できない ~細菌をばら撒かれたら大変なことに
飯田)具体的に危害が加えられる恐れがあれば、もちろん動けるかも知れませんが。
高橋)わかればいいけれど、何もわからず、返事もしなかったらどうでしょうか。上から細菌でもばら撒かれたら大変なことになってしまいます。ドローン系の兵器についても同じです。
飯田)ドローンの場合も。
高橋)そういう法制度の欠陥が明らかになったわけです。3年前に宮城県で今回と同様の気球が見つかったときも、みんな黙っていたでしょう。
飯田)あのときはそうでした。
高橋)「領空侵犯があったのか、なかったのか」についても、実は何もできなかったらしいのです。欠陥が明らかになったのであれば、国会できちんとケリを付けて欲しいですね。
相手が撃ってこなければ攻撃できない ~無人の気球やドローンであれば静観するしかない
飯田)7日の記者会見で浜田防衛大臣は、「必要であればスクランブル対応する」と言っています。
高橋)でも、スクランブルをかけたあとはどうするのでしょうか? 無線で「出て行ってください」と言い、警告射撃したところで、見ていないですよね。
飯田)無人ですから。
高橋)何もできず、静観するしかないらしいですよ。
飯田)そうなってしまうのですね。
高橋)ドローン系もみんなそうです。向こうが撃ってきたら迎撃できるようですが、何もされなかったら対応できない。
飯田)破壊措置命令はあるけれど、攻撃されなければ……。
高橋)攻撃ではないから、対応できないらしいですね。
飯田)あれは北朝鮮の弾道ミサイルなどが対象とされています。
スピードが遅く微弱電波を拾うことが可能な気球
高橋)気球というと、ほんわかしたローテクのものかと思うけれど、かなりのハイテクらしいです。
飯田)ソーラーパネルを並べて電源を供給していますよね。
高橋)風に流されることは絶対になく、どこへでも行ける。
飯田)意図的にあそこを通っている。そうでなければ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の地下式格納施設(サイロ)の上などを通らないですものね。
高橋)衛星と違ってスピードがゆっくりだから、微弱電波を拾うことが可能らしいですね。
飯田)なるほど。
高橋)日本でも風船爆弾を使ったでしょう。
飯田)かつて第二次世界大戦時に。
高橋)9000発撃って、米軍側は「細菌がなかにあるかも知れない」と。また山火事を起こされる可能性があるということで、大変な秘密事項でした。いまも同じです。ですから、日本は早く法整備するべきです
飯田)そういうところも足りていない。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。