日本にとってのフィリピン「重要な3つのポイント」

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が2月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2月9日に行われた岸田総理とフィリピンのマルコス大統領との会談について解説した。

日本にとってのフィリピン「重要な3つのポイント」

2023年2月9日、日・フィリピン首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202302/09philippines.html)

日・フィリピン首脳会談

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岸田総理)自衛隊の人道支援・災害救援活動に関する共同訓練等を強化・円滑化する枠組みの検討を継続していくことで一致しました。また2024年3月までに、6000億円の官民による支援を実施する旨をお伝えしました。

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飯田)2月9日の岸田総理大臣とフィリピンのマルコス大統領との会談ですが、やはり安全保障と資金の支援の話が出ましたね。

台湾有事の際、フィリピンにある米軍基地が重要な存在になる

宮家)これは隔世の感がありますね。フィリピンという国を日本から見ると、3つのポイントがあります。

飯田)3つのポイント。

宮家)まずフィリピンは距離的に少し遠い感じがするのですが、実は沖縄の先に台湾があり、台湾の先にフィリピンがあるのです。ですから、もし台湾で何かあったときに、フィリピンの米軍基地はとても重要です。我々は北からしか見ませんが、南から見ると、フィリピンと台湾はとても近いのです。

南シナ海に面しているフィリピン ~重要な中国とフィリピンの関係

宮家)第2のポイントは、フィリピンが南シナ海に面していることです。フィリピンはアメリカの植民地だった時代もありますから、親米国とは限らないのです。非親米な部分がある。

飯田)非親米的な部分が。

宮家)それが出てしまったのが1991年です。91年にフィリピンの上院が、駐留していた米軍を追い出しました。その結果、南シナ海に米軍の存在がなくなってしまい、そこに中国が入ってきたのです。

日米と同じ方向を向き始めたフィリピン

宮家)その意味でも、フィリピンにとって中国との関係は極めて重要です。特に最後のポイントは、前政権であるドゥテルテ政権。あの大統領もユニークな大統領だったと言われますが、それに比べると、マルコス大統領はオーソドックスな大統領だと思います。

飯田)そうですね。

宮家)凶悪犯を返してくれたわけですから。

飯田)収容されていた連続強盗事件に関連する4名を。

宮家)逮捕状はもっと前に出しているわけでしょう。その意味では、フィリピンと日本の関係も着実によくなっています。岸田総理がおっしゃっていますが、自衛隊が人道支援を行い、災害救援活動の訓練をフィリピンで実施するわけでしょう。

飯田)訓練するという話ですね。

宮家)それもすごいことですよね。自衛隊として支援もするのだろうけれど。そういう意味では、中国を念頭に置いた動きの中で、いままでフィリピンはどちらかと言うと、ときどき反米だったりナショナリズム的だったりとフラフラしていたのが、最近は同じ方向を向き始めた。ですから、米・フィリピン・日本による共同訓練などの話もしているわけでしょう。これは「隔世の感がある」と言っていいのではないでしょうか。

フィリピンに慎重に接するアメリカ

飯田)かつては、クラークやスービックという大きな米軍基地があった。その辺りも含めて使いやすくするという話も、アメリカとの間でしましたものね。

宮家)米軍は1991年にクラークとスービックから撤退したのですが、まだアメリカに対する複雑な感情は残っているので、アメリカも非常に慎重になっていますね。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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