原発の耐用年数は本当に「60年」なのか 高橋洋一が疑問を提示

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数量政策学者の高橋洋一と防衛省防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄が2月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。多数決での了承となった原発「60年超」改正案について解説した。

原発の耐用年数は本当に「60年」なのか 高橋洋一が疑問を提示

※画像はイメージです

原発「60年超」改正案、異例の多数決で了承

原子力規制委員会は2月13日夜、臨時会合を開き、原発の事実上の「60年超運転」容認に向けた原子炉等規制法の改正方針を決定、法案を了承した。しかし、委員5人のうち1人が最後まで反対し、多数決による異例の了承となった。

飯田)現行の法律では「原則40年、最長60年」となっていますが、これを延長するということですね。

高橋洋)延長するというか、抜本的に延ばすのではなく、いままでは「検査するときだけ計算から除く」というテクニカルな話です。もともと「耐用年数は60年」とされているのですが、「本当にそれだけの耐用年数なのか」ということは疑問です。

「耐用年数60年」の根拠 ~検査期間は稼働していないのだからもう少し長くすることも可能では

高橋洋)「60年」というのは普通の構築物でしょう? 建設国債を出すときに、普通の構築物の耐用年数が約60年だから60年としているのです。原発はもう少し頑丈につくっていますよね? それでも、いままでは「検査期間も含めて60年」と言っていたのだけれど、年中検査しているので実際の稼働期間は少ないのです。

飯田)実際に稼働している期間は。

高橋洋)であれば、もう少し延長できるのではないでしょうか。お休みのときは動かしていないのだから、その期間を含めるのはおかしいのではないかと思います。

小型モジュール炉(SMR)であればより安全に運用できる

飯田)委員の1人である石渡明委員が反対を表明していた。地質を専門とする方だそうです。電力やエネルギーの問題が入ってきますが、新増設ができないのでこういう形になっていると。

高橋洋)新増設するのが普通ですよね。最近は小型モジュール炉(SMR=スモール・モジュラー・リアクター)ができています。その方がはるかに安全です。大きいシステムだから熱がたくさん出て、排熱システムが大変になるのだけれど、コンピューターやスマホと同じで、小さくなるほど表面積と体積の比が大きくなるから、熱放出が簡単になります。

飯田)小型モジュール炉であれば。

高橋洋)小さくして熱放出を簡単にし、自然冷却できるようにするのが筋です。いまはそういう技術があります。現行の100万キロワットを細分化し、数万キロワットにすれば、小さくなって熱放出が簡単になります。その方が合理的だと思います。

ザポリージャ原発の現状

飯田)ウクライナでは、ザポリージャ原発がロシアに攻撃されました。「あんな攻撃をしてくるのか」と驚きましたが、この辺りの防護はこの先の課題になりますか?

高橋杉)そうですね。原発は構造物としては強固にできているので、簡単に破壊されるものではありません。福島第一原発のように、原子炉そのものではないところが傷ついたときの方がおそらく大きな問題です。今回ザポリージャ原発で懸念されたのも、同じように冷却の問題、外部電源の問題でしたが、実際にそこまで完全に守り切るのは難しいと思います。しかし、今回も脅威にさらされましたが、ザポリージャ原発自体では事故は起こっていないので、対応自体は不可能ではないと思います。

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