日本だけが時代遅れ 国際会合において「大切なこと」

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が2月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本からは林外務大臣が出席した国連安全保障理事会について解説した。

日本だけが時代遅れ 国際会合において「大切なこと」

共同記者発表に臨む林芳正外相=2022年12月24日午後0時4分、東京都港区の飯倉公館(代表撮影) 写真提供:産経新聞社

林外務大臣、国連緊急会合と国連安全保障理事会に出席

林芳正外務大臣は現地2月22日(日本時間2月23日)、ニューヨークを訪問し、ロシアによるウクライナ侵略から1年に合わせて開催される国連総会緊急特別会合と、国連安全保障理事会の閣僚級討論に参加した。領土保全や主権平等など、国連憲章の原則に基づく永続的な和平の達成を求めて、ウクライナが日本やアメリカ、ヨーロッパ諸国などと共同提案する決議案の採決が行われた。

国際会議では、通訳を入れずに英語で討論できることが大事 ~英語力のある林外務大臣

飯田)安保理に関しては、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、会合は2月21日に開かれました。林さんの一連の動きについて、いかがでしょうか?

宮家)どなたが外務大臣になられるにせよ、国連に行くと、用語は基本的に英語です。ご本人が英語ができて、通訳なしで、資料も見ずに中身のある討論ができる。これが最も効果的なわけです。

飯田)通訳なしで討論できる。

宮家)私が外務省に入ったのは40年以上前だけれども、そのころフランスの大統領は必ずしも英語ができなかったし、イタリアの大統領もドイツの首相も、話せていなかった。私がサミットなどについて行ったときの経験でも、ドイツのメルケルさんは英語ができたけれど、流暢に話すという感じではありませんでした。

飯田)当時は。

宮家)ところが、ショルツさんはかなり英語を話せるのですよ。

飯田)いまのドイツの首相ですね。

宮家)フランスのマクロン大統領も英語がうまいですし、状況は変わっています。日本だけが通訳をつけるなど、もう時代遅れなのですよ。彼らはエリートを英語を話せるように育てていて、それが今きちんと実っているわけです。

飯田)英語が話せるように。

宮家)その意味で言うと、林さんはしっかりとした英語を話します。第2に、こういうときの国際会合は多国間での会合です。そのようなときに大事なのは、場外でいろいろ話をすることなのです。

飯田)本番の会議ではなく。

宮家)「ちょっとこっちに来て」という感じで話すのが実は最も大事だったりするわけです。その場合は時間が限られますから、英語で話すか通訳を入れるかで時間が倍違います。通訳を入れると3分が6分に、5分が10分になってしまうのです。そう考えても、やはり英語力は大事ですよね。

影の主役は中国

宮家)今回の話に戻りますけれども、そういう人が外務大臣として行くわけです。もちろん今回の主題はウクライナですが、実は影の主役は中国です。みんなウクライナの話をしていますが、中国はロシアを支持するのでしょう。

飯田)そうですね。

宮家)ウクライナの次にある問題は台湾かも知れない。インド太平洋地域なわけですから、インド太平洋について、きちんとものを言える人がその場にいるかいないかで議論の深みがまったく違います。そういう意味でも、今回は林外務大臣が行ってよかったのではないかと思います。北朝鮮のミサイル問題もありますから。

飯田)北朝鮮の問題も。

宮家)安保理がどれだけ効果的かと言われれば、いろいろな議論もあるでしょうけれど、国際社会の一丁目一番地ですから。そこで言うべきことを言うのは、日本にとって大きなアセット、資産になると思います。

飯田)こういう場でいろいろな人に会っておくと、「この間も会ったよね」となりますし、意味は大きいですよね。

国会に出席しなければならないために、大臣の海外出張の時間が限られてしまう日本

宮家)今回のような国際的な会合にはできるだけ行かなければいけないけれど、日本には国会があります。副大臣をつくったのは、答弁しなくてもいいという理由もあったのですが、昔と全然変わっていませんね。

飯田)国会と大臣の海外出張の絡みに関し、一般的な慣例として大臣出席要請があり、基本的にはそれに応えなければならない。

宮家)応えなくていいことになったと思うのですが、元に戻ってしまいましたね。

飯田)副大臣が答弁することもできるだろうと。あの当時、大臣がいて政務次官がいた時代から変わったはずでした。そういう趣旨もあるのですかね。

宮家)政務次官も閣僚級ですからね。外務省を代表して答弁するのであれば、本大臣でなくてもいいと思うのですけれど。特に、予算委員会は昔は「総括質疑」と言って、全閣僚を並べるわけですよ。

飯田)全閣僚出席のもと行われる。

宮家)予算委員会の冒頭に。全閣僚は二十数人いるけれど、質問が出るのは決まっています。そこで大臣が何をしているかと言うと、座っているだけです。

質問に合わせて帰国しても、時間がなくできないことも

飯田)大臣の委員会出席については求められれば、海外出張から日程に合わせて無理やりにでも帰って来なければならない。一生懸命帰って、予算委員会などに出た挙句に「すみません、時間がなくて質問できませんでした」ということもある。「あの時間を返してくれ」という話を経験者から聞いたことがあります。

宮家)文句は言えませんから。「お呼びしましたけれど、きょうは質問できません」と言われても、泣き寝入りするしかないのです。

飯田)国益との兼ね合いで。

宮家)どんなに無駄があっても、日本の民主主義が守られるのであればやりますよ。やりますけれど、各国と比べて無駄が多すぎないかということです。

飯田)いままでは余裕があったけれど、これからはどうでしょうか。

宮家)閣僚が海外に行って、日本の立場を説明・主張しなければいけないとき、海外出張するたびに各院に了承をとらなければならない仕組みは変えられないのでしょうか。

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