政策アナリストの石川和男が4月27日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。給料から差し引かれる税金や社会保険料の割合を示す「国民負担率」が上がり続けていることについて議論した。特に近年、社会保険料の伸びが著しいことに関して「保険料を上げることを消費税並みに法律に書くなど、選挙や国会審議など国民的議論にさらしていかないといけない」と指摘した。
今年2月、財務省が公表した見込みによると、2023年度の個人や企業などの所得に占める税金と社会保険料の負担割合を示す「国民負担率」は46.1%となり、この50年で約1.8倍に膨らんでいる。これは、働いて得た利益の半分近くが手元に残らないことを意味している。さらに、差し引かれた税金や社会保険料で賄いきれない分を補ってきた赤字国債の発行分を加えた「潜在的な国民負担率」は54.6%に達する。特に近年は医療や年金、介護の原資となる社会保険料の伸びが著しい。
この状況について、ゲスト出演した岩手保健医療大学理事で経済評論家の濵田敏彰氏は「今と同じような社会保障の給付水準、受けられるサービスを維持し続ければ、これからも高齢者は増えるので、負担は増え続ける」と指摘。さらに「例えば、最近の地震などの災害時に水道管が破損するケースが増えている。これは、国も地方もお金がないから、なかなか新しい水道管に変えられずにいるため。ここ何十年か、政府は公共事業費を増やせていない。これは税金で対応しているから。一方で、医療や介護は一部自己負担を増やすなど改革は行っているが、受けられるサービスは削られていない。10年前にもらえていた薬は、効果の有無は別として今でも変わらずもらえるし、手術もちゃんと受けられる。公共事業は税金で、国会での審議をしっかり受けなければならないが、保険料は国会での審議はいらない。そういう意味では、公共事業のように支出を抑制しようという話にならない」と述べた。
石川は「あの安倍長期政権でさえ、消費税を8%から10%に上げる際、少子化対策・幼児教育無償化の財源と言って5回も選挙をやった。消費税はそういう洗礼を受けるが、保険料は順調にほぼ無風状態で上がってきている」と語り、「保険料を上げることを消費税並みに法律に書くなど、選挙や国会審議など国民的議論にさらしていかないと、いつまでたっても順調に増え続ける」と警鐘を鳴らした。
番組情報
政策アナリストの石川和男が、暮らしに欠かせないエネルギー問題の様々な“見方”を提起。
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※2024年4月6日(土)までは『石川和男のエネルギーリテラシー』