半導体や石油を…… 第三国を使ったロシア・中国間の「怪しい動き」

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東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬が2月27日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。ロシアの軍事侵攻から1年が経過したウクライナ情勢について解説した。

半導体や石油を…… 第三国を使ったロシア・中国間の「怪しい動き」

19.10.2022 Russian President Vladimir Putin chairs a meeting with members of the Security Council via a video conference call at the Novo-Ogaryovo state residence, outside Moscow, Russia. Sergey Ilyin / Sputnik SPUTNIK/時事通信フォト

ロシアのウクライナ侵攻 ~2月24日で1年が経過

新行)2月24日でロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから1年になりましたが、どうご覧になりますか?

井形)最初は「すぐ終わるだろう」と思っていたら、いつの間にか1年も経ってしまったのだなというのが率直な感想です。

新行)そうですよね。

井形)まだ終わりそうな素振りはありませんし、ゼレンスキーさんも「徹底抗戦だ」と言っていて、ロシア側のプーチンさんも終わらせようとしているようにはまったく見えません。「これが続くのかな」と思うと残念ですね。

中国がロシアへの武器供与を始めるのではないか

新行)欧米による武器の供与やロシアへの経済制裁も行われていますが、この辺りはいかがですか?

井形)ポイントとなるのは、今後、中国がどういう態度を取るかだと思います。

新行)中国が。

井形)一応中国は、「自分たちは中立である」と言っていますが、「中国がロシアに武器を供与し始めるのではないか」という話が出てきています。

新行)武器供与するのではないかと。

ロシアへの輸入・輸出面での第三国を使った怪しい動き

井形)突拍子もない話かと言うと、そうではありません。いまロシアに対して各国が経済制裁を行っていますが、それには2つの理由があります。

新行)ロシアに対する経済制裁には。

井形)1つは、ロシアが外にものを売って「外貨を獲得させないようにしよう」というもの。もう1つは「ロシアが必要なものを売らないようにしよう」という、輸入と輸出の面があります。

新行)輸入と輸出面が。

井形)両方で少し怪しい動きがあるのです。どことは言いませんが、ある東南アジアの第三国が中国から、半導体が入っているような電気製品を急にたくさん買い始めているのです。その第三国から、ロシアに対してたくさんの半導体が入ったものの輸出が増えていて、そこに入っている半導体は「武器に転用できるのではないか」というレポートが出ています。

新行)そうなのですか。

井形)逆にロシアから出ている石油を「みんなで買わないようにしよう」と言っていますが、これもある第三国が急にロシアから買い始めています。

新行)石油を。

井形)その第三国でも石油をつくっているのですけれど、そこでつくれる量よりもはるかに多いものを、急に中国へ売り始めているのです。「輸入・輸出の抜け穴」に第三国が使われているのではないか、というようなことも言われています。

新行)制裁逃れということですよね。

井形)まさにそうですね。

中国がウクライナ和平仲介で12項目の提案

新行)直接ではなく、第三国を使ってやり取りしている。

井形)そういうことです。中国側としても、ウクライナ情勢に関して、中立な立場から「12項目の提案がある」などと言っていますけれど、もちろん全部がダメなわけではないのです。

新行)中国による12項目の提案。

井形)「民間人と戦争捕虜の保護が重要だ」という項目はその通りですし、「原子力発電所の安全維持が重要だ」というのも、もちろんそうなのですけれども、その他のところを見ていくと、基本的には中国がいままで取ってきた立場とあまり変わらない内容になっています。

新行)他のところでは。

井形)欧米の国々からすると、「中立」と言いつつ、「ロシア寄りの言動を取っている中国には任せられない」という認識は変わらないのではないでしょうか。

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