キャスターの辛坊治郎が3月7日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。この日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が次世代大型ロケット「H3」初号機の発射に失敗したことを巡り、JAXAの取材後に番組に出演したニッポン放送報道部の畑中秀哉記者と対談し、「何か構造的な問題があるのではないか」と指摘した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7日、次世代大型ロケット「H3」初号機を種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から発射した。JAXAによると、2段目のエンジンの着火が確認されず、地上から指令破壊の信号を出した。搭載した地球観測衛星「だいち3号」を予定の軌道に打ち上げられず、発射は失敗した。
辛坊)今回の打ち上げ失敗が与える日本のロケット計画への影響を、どう見ていますか。
畑中)影響は避けられないと思いますね。「H2」ロケットの打ち上げ成功率は97.82%で、とても安定した実績を残しています。しかし、打ち上げコストがとにかく高いため、少しでもコストを下げていこうとしているわけです。2024年度にはH2ロケットの50号機を打ち上げようとしており、これを最後にH3ロケットにバトンタッチしていく計画です。ただ、今回の打ち上げ失敗により、スケジュールの見直しも含め、今後の宇宙計画を進めていくことになると思いますね。
辛坊)日本のロケットに日本人宇宙飛行士が搭乗して宇宙へ行くのは、いつ頃になると思いますか。
畑中)難しい質問ですね。まずは2030年頃、日本人が月面へ行く可能性も見込まれています。それを待ってから、ということにはなるかと思います。ただ、無人で国際宇宙ステーションへ行く技術自体はあるわけですから、それを基にして、いかに有人の機能を持たせていくかということになると思います。ただ、その時期は、私も取材をしていて分からないです。
辛坊)有人となると、科学技術だけの問題だけではなく、万が一のことが起きた際には国家の責任も問われるでしょうから、難しいですよね。
畑中)誤解を恐れずにいえば、今回のような打ち上げ失敗によって、「駄目じゃないか」とたたかれるような世の中ですと、有人打ち上げまでにはいかないような気がしますね。
辛坊)世界の宇宙開発でも、ロケットの打ち上げに失敗することはよくあることです。ところで、例えばアメリカでは打ち上げ後に地上へ戻ってきて、さらに再利用できるタイプのロケットもあります。日本と比べ、どれほど技術力の差があるのでしょうか。
畑中)こればかりは、場数だと思います。打ち上げる数が増えれば、それだけ技術力も向上していくのだと思います。
辛坊)ちなみに、北朝鮮のミサイルと比べると、性能はどちらが高いですかね。
畑中)もちろん、日本のほうが高いと信じたいです。今回、失敗したとはいえ、新しく開発したメインエンジンは動いているわけですからね。2段目のエンジンに信号が伝わらなかったのか、あるいは2段目のエンジンに信号は伝わったけれども、エンジン側が受け付けなかったのか。そのあたりを今後、検証していくことになるのでしょう。とはいえ、そうしたきめ細かい技術は、日本のほうが上だと思います。
辛坊) JAXAは固形燃料のロケットでも打ち上げを失敗していますよね。
畑中)昨年10月のイプシロン6号機以来の失敗です。
辛坊)それ以来の失敗です。何か構造的な問題があるのではないでしょうか。
畑中)どうでしょうか。とにかく、原因を究明していくしかないと思います。JAXAの山川宏理事長も打ち上げ失敗後のオンライン会見で、早く原因を究明していくことが信頼回復の第一歩だというような話をしています。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)