キャスターの辛坊治郎が3月9日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。日韓関係悪化の最大の要因だった徴用工問題を巡り、韓国政府が日本企業に命じられた賠償金を政府傘下の財団に肩代わりさせる解決策を決めたことについて、「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はよくぞ政治的リスクを負った。肯定的に評価している」と解説した。
日韓両政府は韓国の尹錫悦大統領が16~17日の日程で訪日し、岸田文雄首相と首脳会談を開くことで最終調整に入った。旧朝鮮半島出身労働者の訴訟をめぐる問題について、韓国政府は6日、傘下の財団が日本企業に命じられた賠償金を肩代わりする解決策を発表していた。
辛坊)尹錫悦大統領は、なかなか腹がすわっていますね。韓国の国会は一院制ですが、その国会は議席の過半数が野党で、尹政権は議会を敵に回している形ですから、世論頼みです。そんな状況の中、日本に融和的な態度をとれば、世論を敵に回し、政権の評判は落ちるに決まっています。ですから、相当な政治的リスクを負わないと、今回の判断はできなかったはずです。
この徴用工訴訟問題では、韓国の最高裁判所が日本企業に賠償金の支払いを命じる判決を下しました。しかし、そもそも1965年の日韓請求権協定で賠償金は韓国政府に支払い、個々の訴えが起きた際には、韓国の国内問題として処理するということになっています。ですから、日本企業にしてみれば、支払う筋合いはないわけです。日韓請求権協定で日本が支払った賠償金は多大で、韓国はその後、急激な経済成長を遂げました。
日本と韓国は隣国ですから、そう角を突き合わせる必要はありません。このところ、お互いに依存度が低下していますが、安全保障上はよくないことです。ですから、そこそこに良い関係を築いていったほうがいいのではないかと思います。そういう意味では、尹大統領はよくぞ政治的リスクを負ったなと、私は肯定的に評価しています。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)