キャスターの辛坊治郎が3月15日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。黒海上空で14日朝(現地時間)、アメリカ軍の無人偵察機とロシア軍の戦闘機が接触し、偵察機が墜落したことを巡り、「アメリカは詳細情報が分かっていても、公にしない理由がある」と解説した。
アメリカ軍によると、現地時間の14日朝、黒海上空の国際空域を飛行していたアメリカ軍の無人偵察機をロシア軍の戦闘機2機が妨害し、無人機のプロペラに接触した。無人機は海に墜落したという。一方、ロシア国防省は無人機と接触することはなく安全に帰還したとして、アメリカ側の発表を否定した。
辛坊)無人偵察機は地上に近いところを飛びますから、衛星よりも地上の様子をはっきりと確認することができます。ロシアにしてみれば、嫌でしょうね。
アメリカが無人偵察機を飛ばしている目的は、間違いなくウクライナ周辺のロシア軍の動きを監視するためです。ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国ではないので、アメリカが直接、参戦しているわけではありません。しかし、ウクライナに対する武器の供与は慎重に行っています。さらに、軍事的な情報を水面下でウクライナに提供しているとみられています。そうでなければ、ウクライナがこれまでにロシアの軍艦を撃沈したりするのは無理だろうと思われます。
その軍事的な情報を収集する手段が、今回のような無人偵察機です。ロシアにしてみれば、ロシア領空内に入ってくれば問答無用で撃ち落としても国際条約上で問題ないと考えるでしょうが、公の空域を飛んでいるところを撃ち落とせば、やはり角が立つだろうと考えるわけです。
今回、アメリカ軍の無人偵察機の監視カメラを妨害するために、ロシア軍の戦闘機が無人偵察機に向けて液体を放出しました。ただ、プロペラ式の無人偵察機よりもジェット戦闘機のほうが、はるかにスピードが速いです。しかも、戦闘機はスピードが落ちると、コントロールしにくくなります。ですから、今回の接触が不測の事態でたまたま起きたことなのか、ロシア側がわざとやったことなのかは分かりません。
ただし、無人偵察機や戦闘機で記録した映像や航跡などから、アメリカもロシアも空中で何が起きたかは、はっきりと分かっているはずです。しかし、アメリカもロシアも、これ以上の対立激化は避けたいはずです。ですから、アメリカは分かっていても、今回の詳細情報を公にしない可能性が高いです。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)