キャスターの辛坊治郎が3月30日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。国土交通省の元事務次官が、羽田など各地の空港でビルの運営などを手掛ける民間企業の幹部に対し、国交省OBの副社長を社長にするよう求めていたと報じられたことを巡り、「度を超しており、常識から外れている」と苦言を呈した。
30日付の朝日新聞朝刊は、国土交通省の元事務次官が昨年12月、羽田など各地の空港でビルの運営などを手掛ける民間企業「空港施設」(東京都大田区)の幹部に対し、国交省OBの副社長を社長にするよう求めていたことが分かったと報じた。この元次官は東京地下鉄(東京メトロ)の現会長、本田勝氏(69)。本田氏は31日朝、報道陣に対し、「関係のある方々に懸念、不快感を招いたとすれば、私の軽率な行動の不徳のいたす限り。反省しなければならない」と述べた。
辛坊)外資系企業に勤めている30歳前後の人がもらっている給料は、おそらく日本の一般的な企業で働く同年代の2~3倍です。日本の公務員の給料は基本的に一般的な企業に準じていますから、東京大学法学部を出て難しい試験を通った官僚でも、外資系企業の半分から3分の1ということになります。
かつての官僚は、一定年齢まで務めれば、トップの次官まで出世しなくても、さまざまな関連法人などの天下り先へいき、年収は最低でも2000万円くらいもらって、個室や秘書、運転手付きの車もあてがわれていました。ですから、官僚は確かに若いときの給料は安いけれども、60歳前後で関連法人などに天下り、2年間くらい役員を務めると莫大な退職金もらえました。天下り先を3つくらい渡り歩くと、退職金だけで2億~3億円くらいになっていたはずです。それで、若い頃に給料は安くても頑張れていたわけです。
ところが、一連の天下り批判により、そうした権利を剥奪されてしまいました。その結果、次官まで上り詰めた人でも今回のような騒動に巻き込まれ、名前が出てしまうわけです。本田勝氏が東京メトロの会長をクビになることはおそらくないでしょうが、天下り先の東京メトロという法人に対しては今後、監視の目が厳しくなると思いますよ。「誰が役員を務めているのか」「役員の経歴は」と必ずチェックされるようになるからです。
このように、天下りの道がどんどん狭くなっています。こうなると、まともな人材がそうした法人にはいかなくなり、外資系企業などに流れます。そして、官僚の質がどんどん落ちていきます。衰退の原因になってくわけです。ですから、天下りをあまりにも締め付けることについて、私はいささか疑問を感じます。だからこそ、常識の範囲というものがあるのです。今回の件は明らかに度を超しており、常識から外れています。そこが最大の問題です。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)