豪政府の「TikTok使用禁止」から見る今後の「中国企業と国の関係性」の行方

By -  公開:  更新:

ジャーナリストの佐々木俊尚が4月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府の業務用端末での使用禁止をオーストラリア政府が発表したTikTokについて解説した。

豪政府の「TikTok使用禁止」から見る今後の「中国企業と国の関係性」の行方

スマホに表示されるTikTok(ティックトック)の画面=2020年8月2日、東京都 写真提供:産経新聞社

オーストラリア政府が業務用端末での「TikTok」使用禁止

オーストラリア政府は4月4日、中国企業が運営する動画投稿アプリ「TikTok」について、政府の業務用端末での使用を禁止すると発表した。欧米の政府などでセキュリティ上の懸念があるとして、TikTokに関して業務用端末での使用を禁止する動きが広がっている。

飯田)オーストラリア政府は「なるべく早いうちに適用する」と表明しています。

佐々木)中国企業の問題は前々から言われています。有名なのは「華為技術(ファーウェイ)」という通信企業です。ファーウェイの通信用ルーターに実はバックドアが仕掛けられていて、ルーターに流れる情報を中国に送信しているのではないかという疑惑が広まり、副会長がカナダで拘束されたことがありました。

飯田)そうでしたね。

佐々木)しかし、未だに確たる証拠は見つかっていないのです。今回のTikTokに関しては、個人情報を収集してどこかに送信している証拠が掴めているようなので、事態がさらに進んだのだと思います。

中国政府は国内企業への関与が強いことから中国のTPP加入は難しい

佐々木)中国企業と中国政府との関係性は、これまでもいろいろと言われていますが、よくわからないことが多いです。ただ、少なくとも中国は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を求めているではないですか。

飯田)そうですね。

佐々木)そこで懸念されているのは、技術移転を無理やり外国企業から中国企業にさせたり、中国の国内企業に有利なことをしたりと、中国政府による国内企業への関与が強いことです。これはTPPの理念に反するので、中国の加入は難しいという話になっています。

親会社から分離してアメリカ企業になるという報道が出ているTikTok

佐々木)それだけ中国政府と中国企業の関係は強いのです。そうは言っても、TikTokに関連するような巨大なグローバル企業となると、いつまでも中国政府の傘下にいるのもよくない。

飯田)巨大なグローバル企業になると。

佐々木)TikTokを運営しているのは北京字節跳動科技(バイトダンス)という中国企業ですが、バイトダンスからTikTokの分離の可能性を検討していると、ブルームバーグが報道していました。

「共同富裕」を進め、成長するIT企業への抑圧を強める中国政府 ~習近平路線を緩めるのではないかという見方も

佐々木)当然、そういう方向に行きたがるだろうなと思います。特に中国は習近平政権になってから「共同富裕」、経済成長よりも平等が大事であるという政策を行っています。百度(バイドゥ)やアリババなどのように、IT企業が成長しすぎると抑圧を強める背景があります。

飯田)共同富裕を進めるなかで。

佐々木)そのためアリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が国外脱出し、この2年間くらいは日本にいたという話もありました。

飯田)この間帰ったという報道も出ましたね。

佐々木)帰ったのもいろいろと噂されています。IT企業に対する監視を強めているのだけれど、やりすぎると今度は経済成長が止まってしまう。さすがに習近平路線を少し緩めるのではないかということで、アリババと話がついてジャック・マー氏が戻ったのではないかという話もあります。

飯田)なるほど。

佐々木)中国企業と国の関係性がどうなっていくのか、もう少し注目したいところです。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top