数量政策学者の高橋洋一が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後の世界経済について解説した。
IMF世界経済見通し、0.1ポイント下方修正 ~インフレ収まらず
飯田)IMFの世界経済見通しが出ていますけれども、下方修正されたというニュースが入っています。
高橋)ウクライナ戦争も長引いていますし、インフレが収まらないからという感じですね。
飯田)インフレが。
高橋)「インフレが収まっていない」と言うけれど、私は雇用が確保されているからいいのではないかと思います。「とても悪い」という話ではないでしょう。
膠着状態のウクライナ戦争
高橋)でも、ウクライナの話はよくありません。早く脱したいと思う人がたくさんいますが、ロシアが負けなければ終わらないですからね。
飯田)現状は膠着状態だと言われていますけれども。
高橋)なかなか終わらない。停戦になる可能性もありますが、いま停戦になってしまったらウクライナは不満でしょう。
飯田)ウクライナからすると、ドネツク、ルガンスクなどを獲られているし、クリミアも取り返したい。
高橋)クリミアまでいくかどうかはわかりませんが、少なくとも追い返したいでしょうね。ロシア側も「こんなに犠牲を出したのに」という話になるので、なかなか厳しい。中国が仲介すると言っても、第3者ではないから難しいですよね。両当事者が疲弊して、「もうやめよう」と言うしかない。
飯田)もうこれ以上戦えないというところまで。しかし、まだそういう段階ではありませんね。
日銀短観、大企業・製造業は悪化 ~非製造業は改善
飯田)ウクライナに対しては西側が支援を続けています。戦車を出して、次は戦闘機だとも言われていますが。
高橋)今後は戦闘機を出すでしょうね。
飯田)経済に対しても影響するかも知れない。
高橋)先行きを考えるとよくありません。日銀短観を見ても、大企業はウクライナ情勢の影響が出ていますね。
飯田)先行きの指数が。
高橋)大企業は世界を見ているからです。でも国内の方は、中小企業などもコロナが終わっていい感じになってきています。
飯田)先日発表された短観でも、非製造業は国内の需要がよくなった。
高橋)非常にいいです。大企業の製造業だけがよくないという感じですね。世界経済を見ると先行きがよくない、ということではないでしょうか。
ウクライナ情勢に変化がなければ資源価格は高止まりのまま
飯田)ウクライナ情勢において暗雲が立ち込めるような状況のままだと、資源価格も高止まりしてしまいますか?
高橋)資源価格は間違いなく高止まりですね。原材料価格も、小麦粉などは高くなるから苦しいです。
飯田)対策として、岸田政権は基本的に補助金を出しています。エネルギー価格、電気、ガス、水道、ガソリンなどに対して出していますけれども。
高橋)補助金はそれでいいのでしょう。
少子化対策の財源 ~岸田総理「社会保険料の増額が軸」
高橋)岸田政権は今度、少子化対策でいろいろなことを狙っているのでしょう?
飯田)「異次元の少子化対策」の財源をどうするのか。
高橋)保険料の話になるでしょうけれどね。保険料は、こども保険を進めたときも同じなのだけれど、子どもを産まない人も保険の対象になってしまうではないですか。
子どもを産まない人にも負担増に ~労使折半になるので「消費税に」と言う経団連
高橋)それは保険にはならないですよ。最後はどうなるかと言うと、広い意味での社会保障だから消費税になるのです。これは財務省が言い出すのではなく、経団連が言いますよ。言うまでずっと待っているだけです。
飯田)確かに経団連からすれば、社会保険料になると労使折半だから。
高橋)それは絶対に嫌なので「消費税だ」と言います。これはわかっていることです。「こういう球を投げたらどう反応するか」を全部読んでいますから。
飯田)なるほど。
高橋)いくらでも議論させておく。「保険だ、保険ではない」という議論も全部織り込み済みで、「わかったわかった」という感じで言わせておくのです。そのうち経団連がたまらなくなって、「消費増税で」と言うと思いますよ。
財務省が言うのではなく、経団連に「社会保険料ではなく消費税で」と言わせる
高橋)一言も言わないけれど、こういう球を投げたらどうなるかはわかります。
飯田)いま新聞では、「保険料でどうする」というような話をしています。でも、選挙のときには増税ではなく、保険料の話をする。
高橋)みんなよくわからないから。
飯田)「給料天引きなら一緒ではないか」と思いますが。
高橋)「保険です」などと言ってね。でも、保険に落ち着くことはまずないと思います。最後は消費増税に向かうのです。そこまで待っているのではないでしょうか。
飯田)なるほど。それが国益のための仕事。
高橋)そうです。
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