東京都医師会理事で東京産婦人科医会・名誉会長の落合和彦氏が4月27日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。女性の生涯未婚率の現状と今後の少子化対策について語った。
岸田政権の「異次元の少子化対策」に期待
飯田浩司アナウンサー)これまで、いろいろな政権で少子化対策が掲げられてきました。岸田政権でも「異次元の少子化対策」を行うということですが、お医者さんの立場としては、どんな少子化対策を望まれますか?
落合)少子化対策については、言われて久しいのですけれど、現実的にはうまくいっていないのではないかと考えています。岸田内閣の異次元の少子化対策には、我々も期待を込めていますし、こども家庭庁と言われる新たな組織が発足しましたので、「やってくれるのではないか」という考えもございます。
飯田)90年代のエンゼルプランのときには、省庁縦割りだったという指摘もありましたが、こども家庭庁はそこに横串を刺すと言われています。
落合)そこがこども家庭庁の大きな柱だろうと思っています。これまでのような縦割りではなく、シームレスに行っていただけると聞いていますので。
1990年までは4.3%だった女性の「生涯未婚率」が現在では20%を超えている可能性
飯田)日本では「結婚し、そして出産」という流れが一般的ですが、結婚に踏み切れないところも問題だと言われています。この辺りはどうご覧になりますか?
落合)50歳のときの未婚率が「生涯未婚率」と表現されます。女性の場合、1990年までの生涯未婚率はわずか4.3%でした。それが2020年に17.8%、現在は既に20%を超えているのではないかと言われています。
飯田)生涯未婚率が20%を超えている。
落合)生涯未婚率が高くなっているということは、まさしく少子化につながっていると解釈できるわけです。
結婚や出産で会社を辞めなくてもいい社会をつくることが必要
飯田)「この年収では子どもを育てられない」というところから、結婚や出産を躊躇してしまう向きもあるようですが、雇用問題と少子化は関わりがあるものですか?
落合)女性が結婚を契機に会社を辞める「M字カーブ」と言われるものがあります。結婚して、妊娠を契機に会社を辞めて家庭に入る。少子化を乗り越えていった国は、M字のボトムになるところがだんだん上がっているのです。
飯田)横軸に年齢をとって、縦軸に雇用率をとると、女性の場合は放物線にならずに真ん中で「ボコッ」と凹むということですね。
落合)それを「M字カーブ」と言いますが、「女性が会社を辞めなくてもいい」という社会ができれば、少子化対策が十分な国だという評価があるのです。
飯田)結婚や出産で会社を辞めたりしなくていい。
落合)残念ながら、我が国ではできていません。その辺りについても、こども家庭庁のなかでは踏み込んだ政策をしていますので、どうなるのか注目するべきだと思っています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます