口腔機能の衰えを防ぐ「パタカラ体操」で元気に長く生きる
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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が4月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。口の働きの衰えを防ぐ「パタカラ体操」について語った。
口の衰えを感じている人は、そうでない人に比べて死亡率が2倍に
飯田浩司アナウンサー)今回も口のなかの健康について伺います。
森田)「口のなかの衰え」と聞くと、歯周病や残っている歯の数ばかり浮かぶかも知れませんが、口の働き、すなわち口腔機能を支える最も大切なものは筋肉なのです。
飯田)筋肉。
森田)舌は筋肉の塊とも言えます。舌の力である「舌圧」や、噛み締める力である「咬合力」。また、滑舌は話す言葉の巧みさのことですけれども、これらも加齢によって衰えてきます。
飯田)歳を取ると。
森田)東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)の飯島勝矢教授の研究によると、介護を必要としない65歳以上の約2000人を4年間ほど追跡調査したところ、口の衰えを感じている人は、そうでない人に比べて死亡率が約2倍になるそうです。すなわち、滑舌が悪い人は将来の死亡リスクが約2倍になるという調査結果なのです。
適度に硬いものを噛むことも大切
森田)滑舌のよさだけではなく、お茶や汁物でむせやすい人。あるいはさきイカ、たくあん程度の硬さのものが噛めずに困っている人も増えています。
飯田)さきイカやたくあんが噛めない。
森田)これも加齢にともなって、口腔機能が衰えるオーラルフレイルの1つだと考えられています。
飯田)最近、飲み物でむせることがあるのですが、口腔機能の老化を防ぐいい方法は何でしょうか?
森田)硬いものを避けて柔らかいものばかり食べていると、噛む筋力が衰えて、さらに噛めなくなってしまいます。適度に硬いものを取り入れることが大切です。
飯田)柔らかいものばかりではなく。
森田)飲み込む能力も筋肉によって維持されていますので、お肉などをしっかり噛み、意識して咀嚼する。「噛んで食べる」ことが大切ですし、そのためには歯周病などをケアして歯を残さなければなりません。
口と舌の筋肉を鍛える「パタカラ体操」
新行市佳アナウンサー)噛む力を維持するためには、どのような鍛え方がありますか?
森田)滑舌を鍛えるためのトレーニング方法として、「パタカラ体操」があります。
飯田・新行)パタカラ体操。
森田)「パ」、「タ」、「カ」、「ラ」の4文字を発音することで、口と舌の筋肉を使い、食べたり飲んだりする働きを鍛えるという代表的な体操として知られています。「パ」の発音は唇を閉める筋肉を使います。
新行)破裂音ですものね。
森田)「タ」の発音は舌の筋肉のトレーニングになります。「カ」の発音は、誤嚥せずに食べ物を食道に送るトレーニングです。
飯田)喉の奥の方で発音している感じですものね。
森田)最後の「ラ」は、食べ物を喉の奥へと運ぶための舌の筋力トレーニングです。「パ・タ・カ・ラ」と発音することで、口の機能を向上させる体操です。
「パタカラ体操」の1つである「パンダの宝物」
森田)さらに効果的な方法として、「パンダの宝物(パンダノタカラモノ)」という、口腔ケアや口腔リハビリ施設などで用いられる言葉があります。
飯田)パンダの宝物。
森田)「パンダノタカラモノ」とゆっくり発音することで口腔機能を高め、唾液分泌を促進し、滑舌もよくする効果が期待できます。食事する前、朝昼晩に10回ずつ行うのがいいとされています。
飯田)「パンダノタカラモノ」……一生懸命やろうとすると、本当に口が疲れてきます。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます