ジャーナリストの鈴木哲夫が4月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。予算成立後の「後半国会」での議論のポイントについて解説した。
岸田総理、憲法違反の武力行使は行わないと発言
岸田総理大臣は4月26日の参議院本会議で、反撃能力(敵基地攻撃能力)の行使をめぐって「国民の命と暮らしを守り抜くために憲法・国際法・国内法の範囲内で運用されるものだ。憲法違反の武力行使を行わないことは言うまでもない」と述べた。
後半国会のポイント ~防衛費の問題、原発問題
飯田)「後半国会」ですが、予算成立後のポイントとしては、子育てと防衛になってくるのでしょうか?
鈴木)防衛については、さらにそこから派生して防衛費の問題もあります。
飯田)財源をどうするのか。
鈴木)今年(2023年)の冬ぐらいから本格議論されますが、財源をどうするのか……「増税するのか」ということですね。それから、原発の再稼働も60年を超す運転を認める法案をどうするのか。この辺りも大きな問題が残っています。エネルギー問題ですからね。しかも原発の。
飯田)原発ですからね。
旧統一教会の問題 ~解散命令請求はどうなったのか
鈴木)それから、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題。
飯田)旧統一教会。
鈴木)2022年末に何とか救済法ができたので、片付いた印象を持っているかも知れませんが、実はあの法律にも抜け道がたくさんあるのです。今回の統一地方選挙中にも、旧統一教会の動きがあるというような話が一部報道されています。この問題はどうなったのか。それから解散命令ですよね。
飯田)質問権の行使までは行われています。
鈴木)この件も盛り上がっていたけれど、いまはほとんど岸田さんの口から語られることがありません。
子育て政策は本当に大きな改革となるのか ~その財源は
鈴木)それから子育てです。中身も私が聞いた限りでは、岸田さんが「これをやるぞ!」というより、役所を含めて上がってきたものを羅列している感じです。大きな改革というよりは、いまあるものにプラスアルファしている。
飯田)いまあるものに何かを足しただけ。
鈴木)極端に言うと、1万円を給付していたところを1万5000円にするような印象です。そうではなく、根本的に何を変えるのか。財源の問題もあります。私は以前から指摘していますが、岸田さんは施政方針演説で「社会保険のなかで考えていく」と言っています。
飯田)そうでした。
鈴木)社会保険は医療・介護・年金です。そのなかで財源を考えるということは、社会保険料を上げるのでしょうか。上げないのであれば、年金と医療から削って回すのでしょうか。そうすると年金が少なくなってしまう。また、医療費は高齢者の負担を増やすことになります。何だか怪しいですよね。
飯田)社会保険のなかで考えるということは。
鈴木)しかし、財源問題はまだ議論されていません。安全保障から我々の生活まで、これからなのです。それがはっきりしないなかで選挙が行われてしまった。
韓国との首脳会談やウクライナ訪問によって支持率が回復した岸田政権 ~G7広島サミットの「歓迎ムード」も追い風に
鈴木)これからサミットがあるので、しばらくはサミットにムードを持っていかれる感じはしますね。
飯田)大型連休に入ると、岸田総理はアフリカを歴訪することが既に発表されています。そこからサミットまで、外交の話題がいろいろ出てきますね。
鈴木)最近、岸田さんの支持率が少し回復しています。要因の分析はマスコミによっても違いますが、概ねは外交でポイントを上げたのではないかと言われます。韓国との首脳会談は雪解けと言えば雪解けです。それから、やはりキーウに行ったことですね。
飯田)ウクライナ訪問。
鈴木)そして岸田さんは先進7ヵ国(G7)議長国の首相です。実際にG7の大臣会合が全国で徐々に行われて、その地域はやはり歓迎ムードになっています。外交歓迎ムードと言うのでしょうか。
飯田)長野県軽井沢町で行われたG7外相会合でも、「何を食べたか」ということが話題になっていましたね。
鈴木)本当は中身をチェックしないといけないのだけれど。そういう意味で、岸田さんにとって外交が1つの看板であることは間違いありません。もしかしたら最大の看板は「外交と少子化」かも知れません。
防衛費の財源をどうするのか
鈴木)そういうムードがこれから出てくるなかで、「何が本質か」という議論をしなければならないと思います。安全保障についても、敵基地攻撃能力の問題は非常に大きいし、それとセットで財源の問題もあります。この辺りもしっかり野党には追及して欲しいと思います。
飯田)財源確保法の審議が始まっていますが、どういう議論になっているのか。
鈴木)「財源を増やして何を買うのか」という話もありますよね。
飯田)そこですよね。
鈴木)アメリカのミサイルでいいのでしょうか?
飯田)当座はそれでいいのかも知れませんが、どうやって国産のものにしていくのかなど、全体の道筋が見えてこないですよね。
鈴木)自衛隊の人に話を聞くと、「お金を使って欲しいところは他にもたくさんある」と言うではないですか。
飯田)待遇や募集の部分もいろいろあります。
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