元海上自衛隊ヘリコプター操縦士で笹川平和財団上席研究員の小原凡司氏が12日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。沖縄県の宮古島付近で6日、10人が搭乗した陸上自衛隊のヘリコプターが行方不明になった事故について、「致命的な不具合が突然、起きたと思われる」と解説した。
辛坊)沖縄県の宮古島付近で陸自ヘリが行方不明になりました。アメリカ軍で「ブラックホーク」と呼ばれているヘリです。おそらく墜落したと思われる状況ですが、何が起きたと考えていらっしゃいますか。
小原)私が乗っていたのは、ブラックホークを海軍用に改良した「シーホーク」という機体ですので若干異なるのですが、機体の構造自体は同じです。行方不明になったヘリは救難信号も出せなかったことから考えると、致命的な破壊が急速に進んだと思われます。
辛坊)突然、墜落した感じでしょうか。
小原)墜落したか、着水したかはまだ分かりません。ヘリが飛べなく理由はいくつかありますが、2基のエンジンが両方とも止まる確率は低いです。仮に2基とも止まったとしても、惰性で回る主回転翼の力だけで竹とんぼのように徐々に降下することができます。これをオートローテーションといいます。
辛坊)ただ、このヘリは高度150メートルの低空を飛んでいました。高度150メートルでもオートローテーションは効くのでしょうか。
小原)効きます。
辛坊)ということは、エンジンと主回転翼のつなぎ目が破壊した可能性があるということでしょうか。
小原)はい。そこが破壊すると、翼の回転数を維持できなくなり、ヘリはコントロールを失います。オートローテーションもできない状態になります。ただ、実際には金属片が少しずつ破壊するなどの兆候があるはずです。センサーが付いていますから、金属片が混じっても分かります。
辛坊)オートローテーションで降下する際の着水の衝撃は、どの程度なのでしょうか。
小原)10メートルとか20メートルの高さからドーンと落ちる感じです。
辛坊)それにしても、搭乗者全員が行方不明になってしまうような事態は、普通であればあり得ないですよね。
小原)はい、考えにくいと思います。ヘリがコントロールできなくなる理由は、もう1つあります。尾部回転翼の推力がなくなった場合です。
辛坊)主回転翼と機体が逆方向に回転してしまう状態になるわけですね。
小原)作用、反作用の法則です。今回の事故では、そのような致命的な不具合が突然、起きたと思われます。ただ、高度150メートルは極度に低いわけではありません。海自ヘリが洋上で潜水艦の捜索などをするときには、海面の上空50メートルくらいのところを飛びます。それでも、きちんとリカバリーできる手順があります。
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[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)