各国外相が「通訳なし」で進行したG7外相会合 隔世の感あり
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が4月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。長野県軽井沢町で行われたG7外相会合について解説した。
通訳用のヘッドセットを誰も使わず英語で進行 ~G7外相会合
飯田)産経新聞の連載コラム「宮家邦彦のWorld Watch」4月20日付の紙面で、先日行われた主要7ヵ国(G7)の外相会合について書かれていましたね。
宮家)私が外務省に入ったのは1978年です。1979年に初めての「東京サミット」がありました。その準備事務局の末席にいたのですが、「これがG7というものか」と思いました。当時は「東京サミット」と言って、G7という言葉は使っていなかったと思いますが。
飯田)1979年の東京サミットでは。
宮家)言葉の壁があるので、当時は周りに通訳がたくさんついていました。みんなヘッドセットをつけて行っていた。今回コラムを書いた趣旨としては、外相会合の写真を見たら、誰もヘッドホンもイヤホンもしていないのです。
飯田)通訳の声を聴くヘッドセットを。
宮家)日本の外務大臣が話しているのに誰もイヤホンをしていないということは、英語で行われているということです。G7の会合で通訳を使うか使わないかでは、大きな違いがあると思います。飯田さんと私は日本語で話していますが、もしも通訳を入れたら大変なことになりますよね。
飯田)大変ですね。
宮家)下手をしたら時間が倍になります。しかし、同じ言葉を話していればニュアンスも伝わりやすいので、今回は隔世の感があるなと思いました。1979年から何回行われたかわかりませんが、今回ほど国際標準で行うことができた外相会合はないのではないかと思い、コラムを書きました。
G7での会合であれば通訳はいらない
飯田)会話の一言で国際政治が変わってしまう場合もありますので、「慎重に発言しなくては」となると、通訳を入れる考え方もありますよね。
宮家)それはあります。手段としてもありますし、その方がいい場合もあります。ロシア語も中国語もそうですが、相手が相手なので一言ひとことが重要ですから、しっかりと発言要領をつくって、翻訳もしています。しかし、G7は必ずしもそういうものではありませんからね。
飯田)もともとの価値観を同じくすることが多い。
宮家)そういうことを心配する必要はありません。あとは、どれほど響くかどうかです。だから、言葉の壁があるかないかで、まるで違うのだと思います。
G7サミット閉会後、訪豪予定の岸田総理 ~「クアッド」首脳会合に参加
飯田)一部報道がありますが、G7サミットが5月19日~21日にあり、そのあと岸田総理がオーストラリアを訪問する予定だそうです。「クアッド」の首脳会合に出席するのだと。
宮家)クアッド首脳会合には行かなくてはいけません。当然のことです。クアッドにはインドが入るという意味で、G7とは違う趣きがあります。
飯田)インドが入ります。
宮家)もちろん、インドをG7に入れようとか、同盟国にしようという話ではありません。インドはインドの道を行くわけですが、その枠のなかでインドとの連携を深めることが、我々がインド太平洋と言っている地域の安定に資すると思います。
インド、オーストラリアとの連携を深めるためにも「クアッド」参加は重要
飯田)オーストラリア、アメリカ、インドがいる。その3ヵ国だけでは上手くいかないことが、日本が入ることで上手く動きますか?
宮家)もともとクアッドの考え方は、安倍元総理の考え方です。
飯田)そうですね。
宮家)インドは我が道を行きますので、最初はなかなか上手くいかなかったのです。しかし最近では、中国のインドに対する動きが、国境の紛争も含めて相当強くなり、警戒感も高くなりました。
飯田)警戒心が。
宮家)オーストラリアも中国にものをたくさん売っていますので、そういう意味では慎重な動きをしていたのですが、最近のオーストラリアは中国との関係が悪化しています。そういう意味では、クアッドが固まりやすくなっていますから、今はとても大事な時期だと思います。
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