維新・林氏初当選で崩れつつある「自民党王国・和歌山」の岩盤

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政治・経済評論家でテレビプロデューサーの結城豊弘氏が4月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。衆院補欠選挙で和歌山1区の議席を獲得した日本維新の会について語った。

維新・林氏初当選で崩れつつある「自民党王国・和歌山」の岩盤

【衆院補選2023 和歌山1区補選】当選確実の一報を受け、笑顔で記者会見場に姿を現す日本維新の会の林佑美氏=2023年4月23日午後、和歌山市 写真提供:産経新聞社

衆参5つの補欠選挙と統一地方選後半戦、投開票

4月23日、衆参5つの補欠選挙と統一地方選挙の後半戦で大部分の投開票が行われた。衆参補欠選挙では自民党が千葉5区、山口2区、山口4区、参議院大分選挙区の4議席を獲得した。一方で和歌山1区は日本維新の会が議席を獲得した。

衆議院和歌山1区補選で維新・林佑美氏が初当選

飯田)注目されていたのは、与党が落とした衆議院の和歌山1区でした。日本維新の会の新人である林佑美さんが初当選を果たしています。結城さんは大阪の政界を本当に細かく取材されていると思いますが。

結城)維新の会は2010年の結党から延々と見てきています。東京や全国だと「大阪だけの動きだったのではないか」と思っている方が多いと思いますが、大阪の動きが徐々に全国へ波及しているように思います。「強いのは大阪だけと言われていた日本維新の会が全国政党になってきた」ということが、今回の統一地方選挙と衆参の補欠選挙だったのではないかと見ています。

自民党王国だった和歌山の岩盤が崩れつつある

飯田)統一地方選でも奈良県知事選を獲り、今回は和歌山。徐々に国政や首長選挙でも影響が広がってきているのでしょうか?

結城)ここ数年、そういう動きは出ていました。前回の統一地方選挙、前半戦の奈良県知事選では、自民党が割れています。

飯田)そうですね。

結城)今回、和歌山へ取材に行きましたが、和歌山の補欠選挙でも、やはり自民党内が2つに割れて、擁立候補が決まりませんでした。二階俊博さんと世耕弘成さんの綱引きが、裏でずっとあったわけです。

飯田)二階さんと世耕さんの。

結城)和歌山は二階さんもいらっしゃいますし、ずっと自民党王国で大きな岩盤でした。「それが崩れつつある」というのが、今回の選挙の大きなポイントです。

鶴保庸介氏が出たら維新は林氏を立てなかった可能性も

飯田)ここの補欠選挙に関しては、いまは和歌山県知事に転じられた岸本周平さんの地盤だった選挙区です。擁立もいろいろありましたよね。

結城)そうです。門さんは毎回出て負けていたわけです。その門さんを引っ張り出すという話になった。本来は参議院の鶴保さんが横滑りして出るのではないかと言われていました。

飯田)鶴保庸介さんが。

結城)鶴保さんが出るのであれば、維新は候補を立てなかったのです。なぜかと言うと、鶴保さんは大阪万博の議員連盟の要職に就いた人ですから。

飯田)大阪万博の議連の。

結城)維新としては何とか大阪万博を成功させたいので、「鶴保さんが出るのならば、どうしようかな」とみんな思っていた。しかし門さんが出ることになり、「ここは戦ってみよう」という流れで今回、林佑美さんが出ることになったのです。

飯田)なるほど。

結城)現場で聞いたらわかりますが、林佑美さんの演説がとてもよいのです。力が入っていますし、ご自身も3人のお子さんがいらっしゃり、母親目線でとても訴えるものがあります。

飯田)林さんの演説は。

結城)1回聞いて、「これはファンになるな」という感じです。後半戦は、いままで選挙に行かなかった方たちも林さんの演説を聞いていました。

選挙のエネルギーが大きく動いた

結城)統一地方選挙の1回目、奈良県知事選で維新が勝って、「これは動きが出てきたぞ」と維新の議員に言ったところ、「でも和歌山1区は負けますよ」と彼らは言っていました。

飯田)維新の議員も言っていたのですね。

結城)「勝てるかな?」と言っていました。でも、そのうち議員の人たちから「もしかしたら勝てるのではないか。勢いがある」という話を電話で聞いたり、実際に行って話をしたりして、「もしかしたら」とみんなが言い出したのです。

飯田)進むにつれて。

結城)そこに岸田総理が襲われる事件があり、自民党に風が吹くのかと思いました。4月22日の土曜日には、東京都知事の小池百合子さんが応援に入りました。それで維新は「何とか引き締めないと」となったわけです。

飯田)なるほど。

結城)そのような選挙のエネルギーが大きく動いたのが、和歌山での選挙だったのではないでしょうか。

全国に拡大している「日本維新の会」

結城)統一地方選挙の前半戦からずっと取材をしてきましたが、吉村大阪知事は、橋下さんとは違うのです。橋下さんの時代の維新の会は「大阪の地域政党」というイメージが強く、「社長が橋下徹さん」という感じでした。

飯田)そうですね。

結城)松井一郎さんは引退されましたが、これが吉村さんになり、馬場さんがいて、何人もの顔が出てきた。「これは大阪の政党なのだろうか。もしかするとみんなの政党なのではないか」という感じになりました。吉村さんが横浜や町田で立会演説会を行ったときに私も行きましたが、吉村さんが街頭で立会演説会を始めると、女性や若いサラリーマンが「吉村さんだ」と寄ってくるのです。

飯田)関東でも。

結城)そして握手をしていく。コロナ対応などを含めて、吉村さんの顔が全国に広がったということです。また、「大阪だけではないのではないか」というところを含め、大きなうねりになっているのだと思います。

飯田)もはや大阪だけではない。

結城)維新の目標は地方議員と首長合わせて「600議席以上を獲る」というものでした。馬場代表は「600人以上を達成できなかったら代表を辞めます」とおっしゃっていました。

多くの地域で議席を伸ばす日本維新の会

結城)それを聞いたとき、「無理なのではないか」と思いました。馬場さん周辺や本人にも「難しいのではないですか?」と聞いたのです。「いやいや、そのくらいきちんとした志を持たなければダメなのです。絶対にやりますから」とおっしゃっていました。統一地方選挙の1回目のときに、「そこそこ」どころか、いろいろなところを獲ったではないですか。

飯田)そうですよね。

結城)奈良県知事選も、県議会議員選挙でもそうです。兵庫県は9人から21人に大躍進しました。奈良も県議員が14人になり、京都も9人、和歌山も3人になった。他にも千葉、埼玉、群馬、福島、大分、熊本、北海道と、多くのところで議席を獲りました。それを見ていると、「もう大阪の政党ではなく、全国的に広がっている」と感じますし、それが今回の結果につながったのだと思います。

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