岸田総理襲撃時の「検証説明」未だなし ~警察庁の「隠ぺい体質」を青山繁晴氏が指摘

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作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が4月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理襲撃時の警護体制について解説した。

岸田総理襲撃時の「検証説明」未だなし ~警察庁の「隠ぺい体質」を青山繁晴氏が指摘

取り押さえられた木村隆二容疑者=2023年4月15日、和歌山市の雑賀崎漁港 写真提供:産経新聞社

岸田総理襲撃時の警護体制、検証はいかに

2022年の参議院選挙で安倍元総理大臣が銃撃、暗殺され、次の国政選挙となった先日の衆院補欠選挙では、岸田総理に爆発物が投げつけられる事態が起きた。警察当局は地方の遊説先で要人襲撃が相次ぐ事態を重く受け止め、要人の遊説会場での警護の在り方について検証を本格化させているが、岸田総理の襲撃、暗殺未遂で爆弾の破片がどのように飛んだかなど不明な点が残る。

飯田)これは、爆発物を投げ込んだ暗殺未遂ですよね。

青山)いまは威力業務妨害容疑とされていますが、完全に暗殺未遂です。「容疑が威力業務妨害だからけしからん」という話ではありません。いかなる容疑者も公正な裁判を受ける権利があるので、私は殺人未遂で送検し、起訴されるべきだと思っています。そこはむしろ慎重でなければいけません。

岸田総理襲撃事件について、議員への説明がない

青山)問題は、安倍さんを失いながら、警護体制の見直しが主権者の代表である私たちに説明されていないということです。説明というよりは、むしろ隠ぺいされているのです。

飯田)隠ぺいした。

青山)何の説明もありません。私も黙って見ているわけではなく、安倍元総理の暗殺事件のときと同じように、警察庁に説明を求めてきました。それが議員の務めです。

飯田)説明を求めることは。

青山)議員会館の事務所は自分の事務所ではなく、国民からお借りしているものです。そこに警察庁の人に来てもらって、安倍さんの事件のときには何度も激しい議論になりましたけれど、警護の問題について議論しました。でも最終的に、「こんなことをいつまでも」と言われたのです。「こんなこと」とは何なのか。私は陰謀論云々の話を警察にしたわけではなく、警護のあり方について話したのです。安倍元総理にSPの方1人が身体をぶつけて倒していれば、安倍さんはいまも永田町にいたかも知れない。今朝も国会に出てこられるわけです。

飯田)元気であれば。

青山)それを議論しているときに、警察庁の幹部から「そんなことをいつまでも言っているのは青山さんだけだから、あなたのためになりませんよ」と言われたので、「それは脅迫ではないですか」と言ったのです。

飯田)脅迫ではないかと。

青山)主権者の代理人として話をしているのですから。それも動画で公開しました。そうしたら今回は一切、説明に来ないのです。聞けば、他の議員のところにも来ないそうです。

自民党「治安・テロ対策調査会」の説明では「爆発物の破片」への言及はなし ~警察庁の隠ぺい体質が露わに

青山)自由民主党の正式な機関である「治安・テロ対策調査会」が開かれました。私はその幹事なのですが、そこでやっと警察庁の警備局長以下が出てきたのです。

飯田)治安・テロ対策調査会に。

青山)しかし、そこで示された図には、岸田総理が立たれていた位置や容疑者が爆弾を投げた方向、爆弾が落ちたであろうポイントなどは示されていたのですが、肝心の「破片がどちらの方向に飛んだのか」が出ていないのです。警備局長も一切話さなかったので、「これはおかしい」と言いました。いまの段階でわかる範囲でいいから、示すべきではないかと。

飯田)破片の飛んだ方向を。

青山)破片の飛んだ方角が逆だったら、岸田総理の命の問題に関わっていたかも知れない。こういう警察庁の隠ぺい体質が上にあるのです。

飯田)隠ぺい体質が。

青山)現場の警察官は今回の警護の方々も含めて、身を削る努力をしています。私は臨時講義ではありますが、警察学校の教官も務めていましたから、どんな努力をされているかはわかっています。

爆発物を扱うのは爆発物処理班 ~爆発物は蹴ってはいけない

青山)しかし、上がおかしいと訓練のあり方もおかしくなるのです。今回、爆発物を蹴りましたよね。

飯田)そうでしたね。

青山)それを賞賛する評論家もいらっしゃいました。しかし、私の知り合いの米治安当局の方は、映像を観ながら「爆発物を蹴っているよね」と驚いていました。「どんな訓練をしているのだ?」と聞かれて、答えに窮するわけですよ。

飯田)爆発物を蹴ったことに。

青山)爆発物を扱うのは、あくまで爆発物処理班であって、現場にいた人は一斉に退避しなければならないのです。退避する際は聴衆の方々に適切な声かけを行うのと同時に、総理には頭を強く手で押さえ、低い姿勢で動いてもらわなければならない。今回、少なくとも私が見た限りでは、そういう動作はありませんでした。そういう検証こそ必要なのです。

飯田)そうですよね。

青山)立場が上になればなるほど、謙虚にならないといけません。当たり前ですけれど、自分の身を守ろうとするのではなく、総理をはじめ国民の代理人を務めている方々と、主権者を守ることが生命なので、自分の身を守ってどうするのかという話です。

緊急時の退避については総理にも訓練していただく

飯田)映像を観ると、総理は立って退避するような形でした。

青山)頭を押さえないといけません。自民党の治安・テロ対策調査会でも指摘したのですが、レーガン元大統領が襲撃されたときに、アメリカの警護官は元大統領の頭を遠慮なく押さえて、丈夫な大統領車の陰に隠したのです。

飯田)そうでしたね。

青山)だからレーガン元大統領は生きていたのです。アメリカとも連携訓練をやっているわけですから、いったい何を学んでいるのかと思います。やはり警護官の問題ではなく、上層部の訓練のあり方、判断の問題なのです。

飯田)「総理の頭を押さえつけるなんて!」ではなく。

青山)見えないところで総理にも協力していただき、訓練しなければいけない。当然、アメリカ合衆国は……これ以上は言えませんが、必要なことはやっています。

飯田)なるほど。

青山)警護官に、急に「大統領や総理の頭を押さえろ」と言ったってできませんよ。

飯田)咄嗟のときの身体の動き方は、それまでの訓練の賜物と言いますからね。

青山)高齢の方も多いので、そのときの総理の身体の硬さや、足が動くのかどうかなども含めて訓練しないといけません。岸田総理が襲撃された際の映像を観ると、明らかにやっていないです。

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