1年後の日本の消費は鈍化 中国人によるインバウンド消費が補う

By -  公開:  更新:

経済アナリストのジョセフ・クラフトが5月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。物価上昇分を上回る大幅な賃上げを目指すとするメーデー宣言について解説した。

1年後の日本の消費は鈍化 中国人によるインバウンド消費が補う

ゴールデンウイークを迎え観光客でにぎわう京都・東山の二年坂=2023年4月29日午前11時56分、京都市東山区 写真提供:産経新聞社

物価上昇分を上回る大幅な賃上げを目指す ~メーデー宣言が採択

飯田)5月1日はメーデーでした。物価上昇分を上回る大幅な賃上げを目指すとするメーデー宣言が、「全労連」の中央メーデーで採択されました。賃金との関係はこの先どうなっていくのでしょうか?

クラフト)岸田政権が掲げている賃金上昇に関して、春闘での賃上げは5%くらいで堅調だったのですが、あれは主に大企業です。

飯田)大企業。

クラフト)今回のメーデーに関しては、中小企業が中心です。ご存知のように中小企業は雇用の7割を占めています。ですので、岸田政権が掲げる賃上げに関しては、中小企業が上がってこないと意味がないのです。そういうこともあり、9年ぶりに現職の総理が参加しました。

飯田)連合のメーデーのイベントにも参加したそうです。

政労使会議を8年ぶりに開催 ~政・労がともに協調して動く

クラフト)もう1つのアピールポイントは、政権と組合側が一体となって賃上げを推し進めるという政労使会議を8年ぶりに開催するなど、政・労がともに協調して動いているところが特徴です。

飯田)旧来的な保守系政権の場合は、政と使、政府と経営者側が一緒のようなイメージがありましたが、最近はそれも変わってきているのでしょうか?

クラフト)変わってきていますし、政局にも意味合いがあって、労働組合はどちらかと言うと野党側につくことが多かった。これに取り組むという狙いと同時に、賃上げを進めていくという一石二鳥のような感じで、いま政権が一生懸命取り組んでいるのだと思います。

金融政策修正の土台となる中小企業の賃上げは重要

飯田)以前から最後の1ピースが「賃上げだ」と言われていました。なかなかそこに向かわなかったですね。

クラフト)それがうまくいき、来年(2024年)の春闘、そして中小企業の賃上げが堅調であれば、いよいよ金融政策も修正されていくでしょう。その土台として、今回の中小企業の賃上げは重要だと思います。

1年後は現在のアメリカのように消費は鈍化する ~しかし、鈍化する分をインバウンドが補う

飯田)先日は日銀の金融政策決定会合があり、物価や経済情勢の展望も出てきました。そのなかで消費が徐々に回復していると言われています。コロナ禍で使えなかった分が出てくる「ペントアップ需要」という言葉も使われていましたが、この辺りは継続されていくのでしょうか?

クラフト)そこはまだ要注意です。基本的には、アメリカの状況から半年~9ヵ月ぐらい遅れて日本は動いています。

飯田)半年~9ヵ月遅れで。

クラフト)アメリカもコロナ明けのころは需要が高かったのですが、インフレ率の上昇とともに消費も鈍化していった。日本も同じ道を辿っていくだろうと思います。従って、1年先の消費はある程度、鈍化していく。ただ、その分をインバウンドが補うと思います。

飯田)海外からの観光需要。

クラフト)いまもすごいのですが、まだ中国人が来ていませんから、これから中国人が来るようになると、インバウンド消費が堅調になってくると思います。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top