戦略科学者の中川コージが5月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ・ゼレンスキー大統領のG7広島サミット出席について解説した。
ゼレンスキー大統領のG7広島サミット参加について、イギリスのスナク首相が提案したと英紙が報道
英紙「ガーディアン」によると、ウクライナのゼレンスキー大統領のG7広島サミット出席をめぐり、イギリスのスナク首相がG7に来て直接訴えた方がいいと提案したと報じた。またガーディアン紙はゼレンスキー大統領にとって、G7以外の招待国の「支援獲得」が目的であり、特にインドが「最大のターゲットだった」と分析。インドのモディ首相との会談を実現させたことを評価した。
飯田)ゼレンスキー大統領のG7参加について、「誰の手柄だったか」ということでしょうか?
中川)出世した人に対して、「俺が育ててあげたんだよ」と言うことがよくありますが、その感じに似ています。
飯田)「あいつは俺が育てたんだよ」というのはありますね。社内でのあるあるですね。
中川)ゼレンスキーさんはいま話題の人ですから、「俺が俺が」と言う気持ちはわかりますが。
G7広島サミット直前にゼレンスキー大統領と会っている中国サイド ~そこでは「一つの中国」を認めているウクライナ
飯田)G7サミットを全体的にご覧になって、いかがですか?
中川)「中国・中央アジアサミット」が5月18日~19日にありましたが、その前の16日~17日に中国のユーラシア特別代表がゼレンスキー大統領と会っているのです。日本ではあまり報道されていないのですが、話もきちんと詰めています。ウクライナ側は、「引き続き中国からの支援をお願いします。我々は中国を大歓迎しています」と言っています。
「一つの中国」を認めさえすれば支援する中国
中川)中国側は、「一つの中国を約束した」という内容を入れておくと、何でもOKしてくれるのです。ロシアとの関係もそうです。いろいろなことを語ったあとに、一つの中国を確認したことを言わせているのです。
飯田)一つの中国を約束すれば。
中川)逆に言うと、「そこだけ言ってくれれば支援しますよ」という側面があり、そのようなことを16日~17日に行っています。ゼレンスキーさんもG7に来る直前ではないですか。
その場でゼレンスキー大統領の訪日を中国側に話しているはず
中川)ウクライナ側も中国に対する友好関係を言いつつ、何も言わずに訪日する形になると、当然、中国のメンツを潰すことになってしまう。そのため、中国には「(日本へ)行く」ということを話していないと逆に変だろうとは思います。
飯田)ある程度は筋を通しておいた。
中川)両方が話し合っているわけですから。「G7では台湾海峡問題などが語られる」と言われていたにも関わらず、直前の会談では「一つの中国」をウクライナ側はOKしているのです。それはギャップではないですか。
飯田)確かに。
中川)その辺りのリップサービスも含めてということかも知れませんが、少なくとも中国とウクライナには、十分な情報コミュニケーションラインがあるのです。
ゼレンスキー訪日に過剰な反応をしなかった中国
中川)訪日に関しても、きちんと中国側に言って、中国側としても容認したので、それほど過剰な反応をしなかったのです。一部では過剰な反応もあったと言われていますが、これまで観察している人間からすると、そのような過剰な反応があったとは思えません。かつてTHAAD配備の話がありましたが、あのころとはまったく違っていて、所詮「キレ芸」程度です。
飯田)キレ芸(笑)。なるほど。
中川)以前、G7外相で中国を批判したときにもあったようなレベルのキレ芸でした。あのときも北京の日本大使館に抗議しましたが、あのときに比較的近いような形です。その意味では思ったよりもキレていない。なおかつユーラシア特別代表のウクライナ訪問などを見ていると、その辺りの情報はある程度、把握していたのだろうと思います。
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