中国の核心的利益は台湾であり、ロシアなどどうでもいい

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戦略科学者の中川コージが5月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ情勢においての中国の立場について解説した。

中国の習近平国家主席(中国・北京)=2023年4月6日 AFP=時事 写真提供:時事通信

ウクライナと十分にコミュニケーションが取れている中国

飯田)G7広島サミットに来る直前、ゼレンスキー大統領は中国のユーラシア特別代表とウクライナで会っています。習近平氏がゼレンスキー大統領と電話会談したあと、「和平外交のために特使を派遣する」と発表していましたが、ユーラシア特別代表というのは、その人ですか?

中川)そうですね。一括で行っています。その意味では、十分にコミュニケーションが取れているということです。

飯田)なるほど。

中川)日本にいると、我々のような民主主義陣営はウクライナ側に立っているので、「中国はロシア側だ」というイメージが強いと思います。しかし、中国は「両方と情報ラインを持っている」と見ておいた方がいいです。

ウクライナ、ロシアの両国から「中国は仲間にできないが、敵にすることもできない」という状況にさせている中国 ~国際的な安全保障体制のなかで「一つの中国」を守るため

中川)ロシアとウクライナの関係において、中国は、最初は中立化を目指そうとしていました。現在は、ニュアンスは異なるけれど両方において、「中国は仲間にもできないけれど、敵にもできない」という状況にさせているのです。

飯田)仲間ではないが敵でもない。

中川)なぜ中国がそんなことをしているのかと言うと、大国だからではなく、一つの中国を守るには国際的な安全保障体制が必要になります。国連によって、一つの中国をみんなと分かち合えているのです。台湾を自分たちの執政下に置くためには、国際的な秩序が保たれなければいけない。だからこそ、「ロシアが核などを撃ったら困る」というのが中国の立場なのです。

紛争が長引いても和平になってもいい ~両方から情報を得られる中国

中川)その意味では、最初はマイナスをゼロにしようと中立化を図っていましたが、徐々に変わっていった。最近では、「紛争が起こっていた方がミスリーディングされていい」という意識に変わってきました。

飯田)紛争があった方が。

中川)大国やアメリカも含めて、そこに目が取られてしまいますよね。そのなかで中国は対中東、対アフリカ、対ASEAN、対ラテンアメリカ外交などを積極的に展開できますし、実際に展開しています。

飯田)そうですよね。イランとサウジアラビアのときなども。

中川)そのようなところを見ると、「右に饅頭、左にチョコレート戦略」というようなものです。どちらに転がってもいい。紛争が長引けば長引くほど、ミスリーディングができる。逆に紛争において自分たちで仲介外交ができると、大国としての仲介特典が得られる。「私たちはすごいでしょう」という話ではなく、インテリジェンスの話です。

飯田)インテリジェンス。

中川)両方にベットできれば、情報が取れるのです。いまウクライナの情報はどの国も取れていると思うのですが、ロシアの情報は取れていません。しかし、中国は取れるという話になると、「インテリジェンスに強くなる」ということです。

中国の核心的利益は台湾であり、ロシアなどどうでもいい ~ロシアとウクライナの両方から情報が得られればいい

中川)饅頭になってもチョコレートになってもいい。つまり、和平になっても紛争になってもいいのです。以前の中立化戦略は、どのようにマイナスをゼロへ展開するのかということでした。

飯田)マイナスからゼロへというのは開戦直前、過度にプーチンさんに近付いたので、もう少し引き戻さなければならないという意識ですか?

中川)「過度に」ということ自体、イメージの世界です。もともと中国の外交文書を見ていると、「是非曲直」ということで、言葉としてロシアを突き放していました。英文経由の情報だと「アンリミテッド・ボンド」という言葉で、「際限ない仲」とされていました。

飯田)際限ない仲。

中川)しかし、原文を読むとかなり突き放したことが書いてあって、その辺りが日本や英文の世界で誤認識が広がった要因だと思います。

飯田)誤認識が。

中川)少なくとも中国側はそのように言っています。そのなかでマイナスからゼロへというのは、国際的な集団安全保障体制が築かれていないと一つの中国が壊れて、みんなバラバラになってしまう。「中国は中国、台湾は台湾でしょう」という認識を中国は最も恐れているのです。

飯田)なるほど。

中川)ロシアなど、どうでもいいのです。自分たちの核心的利益は台湾なので、そこを崩さないことがマイナスであり、ゼロに持っていくための戦略だったのが前半戦です。

飯田)それが落ち着いてきたから今度は……。

中川)中立とみなされてきたので、今度はどうプラスにするか、というところに持っていったのです。

飯田)どのようにプラスになるか。

中川)今度は中国から首相が訪露すると思います。そのときに「G7への対抗か」という話にもなると思いますが、インテリジェンスなので、「ロシアからもウクライナからも情報が取れればいい」という考え方の一環だと見た方がいいです。「紛争であっても得だ」という視点は忘れない方がいいと思います。

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