北朝鮮の軍事偵察衛星 根本的な問題があれば、2度目の成功もない

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が6月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。打ち上げが失敗した北朝鮮の軍事偵察衛星について解説した。

北朝鮮の軍事偵察衛星 根本的な問題があれば、2度目の成功もない

2023年5月31日、韓国西部・於青島西方約200キロの黄海海上で発見された、北朝鮮の「発射体」の一部とみられる物体[韓国軍提供] 写真提供:時事通信社

北朝鮮の軍事偵察衛星、近日中にも2度目の打ち上げか

北朝鮮の金正恩総書記の妹・金与正氏は、初めての打ち上げが失敗に終わった軍事偵察衛星について談話を発表した。金与正氏は「我が国の軍事偵察衛星は遠からず宇宙軌道に正確に侵入し、任務遂行に着手することになるだろう」と述べ、2回目の打ち上げを近日中に行う考えを強調した。

飯田)もともとは5月31日~6月11日までに打ち上げると予告していました。

宮家)この開発計画は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)にもなる衛星打ち上げだということですが。

2度目に言及できるということは、初めから用意している ~開発は順調に進んでいる

宮家)開発計画は本気ですよね。しかも、2度目について言及できるということは、初めから用意されているのでしょう。こんなに大きなプロジェクトの場合、最初から成功するとは限りません。日本でさえ簡単にはいかないわけですから。

飯田)そうですね。

宮家)となれば、2回目を打ち上げるのは当然ですし、悔しいけれど順調に新型ICBM開発の準備を進めているのでしょう。

飯田)2度目を打ち上げるということは。

宮家)談話を発表するのは珍しいけれど、どうせわかってしまう話なのですからね。金与正氏はアメリカを非難し、「偵察衛星を含めた優秀な情報収集手段を保有することを、アメリカは最も恐れている」と言っていますが、この打ち上げにはいろいろな論点があるのですよ。まずは液体燃料でしょう。

飯田)液体燃料です。

宮家)液体燃料ということは、注入しなくてはなりません。つまり、すぐに撃てるわけではない。だからICBMの本来あるべき固体燃料とは違うかも知れません。しかも、私は専門家ではありませんが、南に向けて撃っているではないですか。

飯田)そうですね。

宮家)偵察衛星を運用するのであれば、1個や2個では足りません。南に撃ったら静止にならないわけですからね。また、静止衛星にするには遠い軌道ですから、近くから偵察するとなると何十個も打ち上げる必要があります。それならアメリカも少しは恐れるかも知れませんが、今回のように1機打ち上げたくらいではね。

根本的な問題があるのであれば、2回目も成功しない ~単純なミスであればオペレーションにも問題がある

宮家)でも、順調に開発計画を進めているのは事実なので、要注意であることは間違いありません。ただ、今回は詳しく解析されてしまったではないですか。回収されたミサイルの部品でどの程度の衛星なのかわかってしまったのです。それ以上に、近日中に撃つかも知れないと言われていますが、あれほど大失敗して近日中に撃てるのでしょうかね。

飯田)であれば次が既に用意されている。

宮家)用意されているけれど、同じような構造だった場合、同じような問題が起こり得るわけです。根本的な問題があるのだとしたら、2回目もうまくいくわけがありません。

飯田)根本的な問題があれば。

宮家)2回目をすぐに撃てるということは、単純なミスだったのかも知れません。

飯田)単純なミスであれば、今度はオペレーションの方にかなり問題があるということですよね。

宮家)アメリカが恐れていないとは言わないけれども、これをやったところで状況は大きく変わりません。最終的にはICBMがアメリカに届くところまで進めようとしているのだろうけれど、幸いにも、すぐに達成できるような状況ではない。だからといって過小評価してはいけませんが。

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