秋まで衆院解散はない その背景にある「いくつかのこと」

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが6月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。衆議院解散の可能性について解説した。

秋まで衆院解散はない その背景にある「いくつかのこと」

官邸に入る岸田文雄首相=2023年6月5日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

国会終盤へ、与野党が解散をにらみ駆け引き激化

政府・与党は外国人の送還や収容のルールを見直す入管難民法改正案を6月7日にも成立させ、残る法案も21日の会期末までの成立を目指す。一方、野党の立憲民主党などは内閣不信任決議案の提出も視野に入れている。

飯田)解散風が吹くのかどうか。ここへ来て「国会延長も」という記事も出ていますが、どうご覧になりますか?

クラフト)こればかりは総理の専権事項ですからわかりませんが、政権中枢の方々から話を聞くと、そんな感じはしません。

G20開催前の解散はない ~国連総会が終わる9月末~10月での解散の可能性が高い

クラフト)総理としては、少子化対策の骨太案をまず国会で議論する。そして忘れてはいけないのは、主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)が今回、大成功だったわけですが、ここで終わるのではなく、G7での合意事項などをいかに主要20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)に引き継ぐかということです。

飯田)G20に。

クラフト)G20は9月に開催されますので、それまでに外遊しておきたい。中東もあれば、ASEAN諸国でまだ行っていない国が3つありますので。

飯田)なるほど。

クラフト)解散すると、外遊等ができなくなります。これは推測ですが、総理がG20に向けた外交を焦点としているならば、6月の解散は難しい。むしろ9月末の国連総会が終わってから、9月末~10月にかけて解散する方が理にかなっているのではないかと思います。

飯田)G7サミットの最中にゼレンスキー氏が来た辺りで、会期末まで待たずに解散するのではないかという話も出ていましたが、その風が弱まってきている感じですか?

クラフト)「解散したい」と言っている人たちは選挙区が弱いので、維新が体制を整える前などに解散して、選挙に持っていきたいのでしょう。しかし、岸田総理は必ずしもそういう意向ではないのだと思います。

自公の協力関係を戻し、体制を整えて秋口に選挙を行った方が自民党にとっても、公明党にとってもいい ~少子化対策の財源を決めて秋口に行う

飯田)足元では10増10減の話があり、特に東京の選挙区などは揉め続けていますね。

クラフト)個人的には、公明党の問題は大きいと思います。いま選挙を行えば、東京で落ちる議員が相当増えるでしょう。まったくの推測ですが、秋口までに自民・公明のゴタゴタを解消して協力関係を戻し、体制を整えてから秋口に選挙をした方が、自民党にとっても公明党にとってもいいのではないかという考えも、自民党執行部にはあるのではないでしょうか。

飯田)夏を越えることになると、今度は閣僚人事と党役員人事もどこかで行うのではないかという話があります。「刷新した上で選挙を」とも言われますが、いかがでしょうか?

クラフト)普通に考えればそうなるでしょう。少子化対策の財源を決め、大義名分を立てて通すという方向だと思いますので、自然なのは秋口ではないかと思いますが、こればかりは総理の判断事項ですよ。

選挙に負けてからG20に行くことになれば、外交にも影響が出る

飯田)公明党の協力に関して、一説に言われるのは、1小選挙区当たり1万~2万票くらいあるということです。確かに、1万票未満の差で勝ってきた選挙区がありますよね。

クラフト)数名いますね。これも私の個人的な考えですが、大事なのはここで選挙を行い、思ったほど伸びなかった。または議席を減らして求心力を低下させてしまうと、外交にも影響が出てきます。日本はG7議長国ですので、G20でも影響力があります。そこへ選挙で負けたあとに行くと、外交にも影響しますので、そこまでリスクを取る必要があるのだろうかと考えます。

飯田)国際会議の場でも、「どうしてあの選挙を勝てたのだ」というような内容を聞かれることがあるらしいですね。

そこまで過信していない岸田政権

クラフト)自民党執行部の方々と話をすると、4月の地方選挙を分析した結果、「思っていたほど強くなかった。風はそれほど吹いているわけではない」とわかったようです。ですので、自民党もそこまで過信していませんし、当然、総理もわかっている。ここで解散すれば、厳しい選挙になるのではないかと思います。

飯田)統一地方選と合わせて5つの国政の補選が行われましたが、4勝1敗ではありました。

クラフト)4勝1敗ですが、中身を見ると接戦しています。下手をすれば3勝2敗ですし、もしかしたら2勝3敗という展開になってもおかしくありませんでした。決して岸田政権は選挙に対して過信してはいないと思います。

9月の外交イベントをこなしたあとに解散するべきでは

飯田)一方で、一昨年(2021年)の衆議院選挙では岸田さんが自民党総裁になり、首班指名された直後に解散して、「こんなに早く打つのか」というサプライズ感がありました。前倒す快感のようなものを覚えているのではないでしょうか。

クラフト)菅政権のときは、解散が遅れたこともありました。

飯田)結果、解散しきれませんでしたね。

クラフト)それを未だに覚えている自民党員のなかでは、「解散した方がいい」という声もありますが、どうなのでしょうか。私は、いまは岸田総理の強みである外交を重視して9月の外交イベントをこなし、そこから解散した方がきれいではないかと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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