日経平均株価「バブル期後」最高値更新した「3つの要因」
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経済アナリストのジョセフ・クラフトが6月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。終値がバブル期後の最高値を更新した日経平均株価について解説した。
日経平均株価の終値、バブル期後の最高値を更新
6月5日の東京株式市場では取引開始直後からほぼ全面高となり、日経平均株価は3万2217円で取引を終え、終値としてバブル後の最高値を更新した。先週末からの上げ幅も693円で今年最大となった。
飯田)1990年7月以来の水準だということです。これも相対的に買われている部分でしょうか?
米債務上限交渉が成立、米雇用統計がよかった、利上げが据え置かれる見通し ~中国株が下落し、米株の見通しも定まらず、割安の日本に金が集中
クラフト)そうですね。直近で言うと、3つの要因があります。1つ目は、懸念されていた米債務上限交渉が成立したので、リスクオフからリスクオンになりました。
飯田)リスクを取れるということですね。
クラフト)2つ目は、6月2日に発表された5月の雇用統計の内容がよかったことです。アメリカの景気は、とりあえずまだ安泰であることが好感されて、2日には700ドル以上もダウが上がり、その恩恵を受けています。
飯田)5月の雇用統計の内容がよかった。
クラフト)3つ目は、米連邦準備制度理事会(FRB)で13日~14日に連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策決定会合がありますが、そこで利上げが据え置かれるのではないかという見通しがあります。この3つが重なって直近の米株……海外の投資家はドルベースで海外株を見ますので、ドルベースで日経を見ると、割安感が強いということです。
飯田)なるほど。
クラフト)中国株は下落しています。米株の見通しもそれほど強気になれないため、割安の日本にお金が集中している状況だと思います。
労働不足が続き、賃金の高止まりが続く ~当面、夏場までは好調が継続
飯田)アメリカの雇用統計に関して、市場予想は19万人余りだった非農業部門の雇用者の伸びが、33万人余りになりました。雇用がまだまだ強いのですか?
クラフト)その通りです。賃金も少しずつ鈍化しているのですが、労働不足が続いており、賃金の高止まりがある。そしてサービスインフレの高止まり、いわゆるインフレの粘着性が続いています。
飯田)インフレの粘着性。
クラフト)2つのことが起きていて、手前では利上げは一時的にせよ見送り、いったん休止されますが、年後半の利下げはないということです。それによって長期金利が上がり、いまはドル高になっている状況です。
飯田)長期金利が上がって。
クラフト)いずれにせよリスク要因が少なくなっているぶん、いまの投資家センチメントは株式投資、リスク投資に前向きです。いつまでも右肩上がりになるとは思いませんが、当面、夏場まではいい調子が続くのではないかと思います。
利下げがなければ株安要因に ~8月に開催される「ジャクソンホール会合」
飯田)夏場までと、その先の年後半に関しては分けて考えなければならないのですね。
クラフト)分けて考えた方がいいと思います。
飯田)その辺りの転換点は、7月の政策決定会合なのか。また、8月には世界中の中央銀行トップが集まる「ジャクソンホール会合」がありますが、その辺りになるのでしょうか?
クラフト)ジャクソンホールは重要ですし、利下げがないとなると株安要因になります。
飯田)利下げがなければ。
クラフト)1ヵ月前の市場では、来年(2024年)の1月までに「4回の利下げ」はあり得ない話だと言われていましたが、それが1回ないし2回の利下げに上方修正されているのです。それでも利下げ期待は残っています。
飯田)利下げの期待感が。
クラフト)利下げ期待がゼロになってしまうと、株価の重しになりますので、8月以降、秋から年末にかけての米株は重い展開を見せる可能性があります。
金融政策に注視する相場
飯田)マーケット関係者がいろいろなことを考えている時期に、中央銀行トップがどんなメッセージを出すのか、センシティブになりますね。
クラフト)来週はFOMCと、日銀の政策決定会合があります。市場は金融政策頼みではありませんが、注視しながら一喜一憂していく相場がしばらく続くのではないかと思います。
飯田)講演の内容1つとっても、いろいろなことを想像してしまいますね。
クラフト)発言などもそうですね。利下げが見送られるのではないかという見通しは、数週間前のパウエル議長とジェファーソン副議長任命の発言が寄与していると思います。
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