元陸上自衛官で現在は自衛官のセカンドキャリアのためにつくった運送会社「MILITARYWORKS(ミリタリーワークス)」(東京都中央区)の代表を務める木村裕一氏が6月26日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。岐阜市の陸上自衛隊射撃場で男性隊員3人が訓練中の自衛官候補生の男(18)に自動小銃で撃たれた事件を巡り、「実弾を渡してはいけないタイミング渡してしまったのではないか」と解説した。
岐阜県にある陸上自衛隊日野基本射撃場で14日、18歳の自衛官候補生の男が銃を乱射し、自衛官3人が死傷した。動機などの全容解明が待たれる中、男は特定の自衛官への恨みはなかったと供述し、弾薬を奪うために銃撃した可能性が報じられている。自衛隊を揺るがす今回の事件。元自衛官は、どう感じているのか-。
辛坊)今回の事件では、自衛官候補生の男は自動小銃に実弾を込めてはいけないタイミングで弾倉を装填したというのですが、そういうことはあり得るのですか。
木村)教育中は、そのタイミングでは実弾を渡してはいけない決まりになっているので、渡しません。しかし、今回はそのタイミングで実弾を渡してしまったのではないかと思われます。本来であれば、実弾を撃つ場所に移動してから、実弾が渡され、自分で弾倉に込めて撃ちます。
辛坊)しかし、結果的には、やる意思があれば、できてしまいますよね。銃口を的には向けず、隊員に向けて引き金を引けばいいわけですから。現場での訓練中に、そうした危機感はあるのでしょうか。
木村)僕たちの頃には、そうした感じはなかったです。手順に沿って訓練をしないと、当時は教官らに殴られたり蹴られたりして怒られましたからね。それでも、教官らとは信頼関係がしっかりと出来上がっていました。しかし、現在は手を出すとパワーハラスメントなどといわれますので、そうした信頼関係をつくるのは以前と比べ、難しいのかもしれません。
辛坊)今回、別の隊員に向けて発砲するなんて絶対にないだろうという油断が、現場の皆にあったと思うのですが、ふだんの動きとは違う動きに気づけば、その場で取り押さえますよね。
木村)そうですね。おそらく銃にそれほど慣れている時期ではないですから、実弾を込めるまでに、ある程度の時間がかかっているはずです。それにもかかわらず、発砲前に取り押さえられなかったということは、指導する側がきちんと見ていたのだろうかという疑問が残ります。
辛坊)今回の事件は何が原因で起きたのだと思われますか。
木村)訓練中に隊員に向けて発砲するなんていうことは起きないだろうと、誰もが思っていたからではないでしょうか。
辛坊)銃を扱う資質というものは、現場では分からないものなのでしょうか。
木村)分からないと思います。信頼関係がないと、こうした訓練はできませんし、有事の際も同様ですからね。やはり、こうしたことが起きるとは、そもそも誰も思っていないはずです。
辛坊)現場で何が起きたのでしょう。
木村)実弾の発射訓練を何度も繰り返すうちに、自衛官候補生の男は実弾を奪えると考えたのではないでしょうか。ただ、僕の経験では、実弾を奪える状況にはありませんでしたから、考えたこともありません。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)