中国が夏季ダボス会議を開催する「本当の狙い」

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ジャーナリストの有本香が6月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国・天津市で行われる「夏季ダボス会議」について解説した。

中国が夏季ダボス会議を開催する「本当の狙い」

「烈士記念日」の式典に臨む中国の習近平国家主席 2022年9月30日(共同)

夏のダボス会議が中国・天津市で6月27日に開幕

夏季ダボス会議は、スイス・ダボスで毎年1月に開かれている国際会議の中国版。第1回の開催は2007年で、2019年までは毎年夏に大連と天津で交互に行われていたが、新型コロナウイルスの影響で4年ぶりの開催となる。

飯田)今回のテーマは起業家精神と技術革新だそうです。国営新華社によると、モンゴルのオユーンエルデネ首相やベトナムのファム・ミン・チン首相も出席予定とされています。

政治的な存在でもある本家・ダボス会議 ~それを中国で開催することはギャグのようなもの

有本)ダボス会議は、「経済フォーラム」と名前が付く組織が主催しているわりに、世界に向かって「これからの正義はこちら側だ」というような傾向があります。単なる経済活動というよりは、道徳やモラルを説くような雰囲気を醸し出している。

飯田)政治的なメッセージですよね。

有本)とても政治的です。「グリーンでいきましょう」ということや、「多様性が」などの話をするわけです。それを中国で行うというのは、ギャグのようなものですよ。

飯田)本家のダボス会議も結局、そこに向かって経済の人たちが集まっています。「次のビジネスチャンスはこちらだ」ということですよね。

有本)コロンビア大学の教授が会場に行ってみたら、「まるで小綺麗な服装をしたバーニー・サンダースの集会に来ているようだった」と言っています。そのくらい政治的な、左派的なアジェンダが強い。それがダボス会議だと言っているわけです。その夏版を中国で行うということです。

中国との関係を重視するモンゴルの首相 ~中国の狙いはモンゴルの資源

有本)モンゴルのオユーンエルデネ首相は、中国との関係を重視しています。

飯田)そうなのですね。

有本)コロナが収束して、中国のビジネスマンの多くがモンゴルに行っています。国が小さいので市場として狙っているのではなく、モンゴルはいろいろな資源を持っているではないですか。

飯田)鉱物資源を。

有本)そのため、モンゴルに居を移すような人もいると聞いています。

合同演習も実施し、軍事的にはアメリカとの関係が劇的に変化するベトナム ~経済的には中国が触手を伸ばす

有本)ベトナムの現政権も、中国に融和的になってきていると感じます。

飯田)少し前のフック首相辺りまでは、ベトナムのなかでも南の出身者が多かったのですが、だいぶ風向きが変わってきましたか?

有本)現在の指導部になり、中国との関係を重視する流れになってきています。先日、ベトナムの支配層と親しい日本人の方から話を聞いたのですが、「ベトナムは今後、かなり親中路線に行くだろう」と言っていました。

飯田)そうですか。

有本)日本は日本で、関係は強化されているわけです。ベトナムから入ってくる人も増えていますし、政府は経済関係も増やしていこうと考えていますが、「中国の浸透スピードの方が早いだろう。上の方のつながりが深くなっている」と言っています。

飯田)6月25日にはアメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」がダナン港に寄港しました。また、その前は日本の護衛艦「いずも」も寄港しています。

有本)軍事的にはこの数年、ベトナムもアメリカとの関係を劇的に変化させました。

飯田)演習も一緒に行ったり、いろいろ動いていますね。

有本)かつて戦争していた時代からは考えられないくらい、アメリカ軍と連携を組むような流れにはなったのですが、やはり経済面では、中国が触手を伸ばしています。

ベトナムと中国の結びつきは今後も強くなっていく

有本)特に数年前は、巷での反中感情は強かったわけです。

飯田)そうですよね。

有本)南シナ海の問題で大きな反中デモに発展したこともありました。そういう事態を深刻に見たのでしょうね。経済を使ってベトナムの支配層だけでなく、巷にも入っていくことを、コロナの間も含めて積極的に行いました。今後、中国との結びつきは民間でも、政治的にも強くなっていくのではないでしょうか。

今後のASEAN諸国と中国の関係

飯田)中国とどう向き合うのかというところで、ASEAN諸国が草刈り場のようになっていくのでしょうか?

有本)それぞれ国の事情が違いますので、ASEANを一括りにできないところもあります。ただ、ベトナムがそうなった場合、インドシナ周辺の5ヵ国はある意味、中国に歯向かうことはないでしょうね。

飯田)海沿いのタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンですね。

有本)日本もASEANに対して、特に安倍政権の時代は戦略的な外交ビジョンがありましたから、「ASEANとの関係は対中関係なのだ」とはっきりしていました。しかし、その辺りのビジョンが見えなくなりつつあります。

飯田)当時の外交ビジョンが。

有本)ベトナムから労働者が入ってくる。あるいは中国から日系企業の生産拠点を移すのも大事なことではありますが、通商ベースだけでは強い連携にはなりません。

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