ジャーナリストの須田慎一郎が7月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米イエレン財務長官の訪中について解説した。
アメリカのイエレン財務長官が中国を訪問、「一定の進展が得られた」と成果を強調
中国を訪問していたアメリカのイエレン財務長官は7月9日、一連の日程を終えて記者会見し、「両国には大きな意見の違いがある」とした上で、「一連の会談は米中関係を確かなものにする取り組みの一歩になった」と成果を強調した。
飯田)最近はブリンケン国務長官など、さまざまな人が訪中していますが、経済閣僚が多い感じですか?
須田)もともと米中間では経済安全保障の観点から、例えば半導体や通信ネットワークなど、次々とデカップリングが進んできました。
飯田)切り離しが。
中国が不当にデータや技術を盗む、ハッキングするという動きを遮断する ~その背景にある国家情報法の存在
須田)それがまた米中の火種になっていたのですが、安全保障で軍事的に衝突するよりも、コインの裏表の関係になっている経済分野で協議しなければならないため、いま行われているのです。
飯田)半導体や通信ネットワークについて。
須田)半導体、IT、通信ネットワークなどを考えていくと、ビッグデータの漏洩やハッキングなど、情報・データの問題になってきます。アメリカとしては「不当に中国がデータや技術を盗んでいる、ハッキングしている」という懸念があるので、それを遮断していこうという動きになっているのです。
飯田)遮断しようと。
須田)その背景には国家情報法の存在があり、将来的に大きな問題になると思います。中国企業をいたずらに排除しているわけではなく、「ルールをきちんと守るのであれば、必ずしも排除するわけではない」というメッセージを伝えているのです。
問題点を指摘し、そこから交渉を始める
飯田)そう言いながらも、「機微な分野は絶対に譲らないぞ」という意識もあるし、対話をしに行くのは、ある程度の緊張感をコントロールしたい思惑がアメリカ側にあるからですか?
須田)しかし、中国側が折れて「データ漏洩に関しては厳しく取り締まりましょう」と言うはずもありません。問題点を露わにし、それを指摘することによって、交渉がそこから始まるということなのだと思います。
日本企業も見極めが必要
飯田)この先も劇的に変わるわけではなく、対峙は続いていくのでしょうか?
須田)続いていくと思います。中国がいままでの方針を改める可能性は、99%ありませんから。
飯田)日本企業もそれを念頭に置かなければいけない。
須田)それを日本企業はきちんと見極めるべきです。退くべきところは退くという選択が必要だと思います。
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