キャスターの辛坊治郎が7月25日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。中古車販売大手ビッグモーターが自動車保険の保険金を不正に請求していた問題を巡り、同日開かれた同社の兼重宏行社長による記者会見を取材したニッポン放送の小永井一歩アナウンサーと対談する中で、「刑事事件でお灸をすえないといけない」と指摘した。
中古車販売大手ビッグモーターが自動車保険の保険金を不正に請求していた問題で、兼重宏行社長は25日に開いた会見で謝罪し、辞任することを明らかにした。兼重社長は自身の不正への関与については否定した。
辛坊)記者会見の長さは、どの程度でしたか。
小永井)予定は1時間半でしたが、2時間ほどかかりました。詰めかけた報道陣は100人ほどでした。
辛坊)何が一番印象に残りましたか。
小永井)黒いスーツ姿で会見に臨んだ兼重社長は冒頭、立ったまま7秒間ほど深く頭を下げました。ただ率直に言うと、兼重社長が加害者だったのか、被害者だったのかが分からないような発言が相次ぎました。
辛坊)要するに、会見の全体を通して謝る気はなかったという感じですか。
小永井)兼重社長自身も、現場でどういうことが行われているかを全く把握しようとしていなかったということです。
辛坊)兼重社長は裸一貫で中古車販売事業に乗り出し、1代で従業員が約6000人の会社を築き上げました。しかし、株式を公開してないので、今も個人商店の社長のような立場です。
小永井)そうですね。50年ほど前に創業し、1代で業界最大手に成長させました。また、兼重社長が代表を務めている会社がビッグモーターの株主にもなっている状態です。
辛坊)ワンマン社長がゆえに、情報が上がっていなかったのか。それとも、ワンマン社長だからこそ、全てを知っていたのか。印象としては、どちらでしたか。
小永井)兼重社長によると、6月下旬に特別調査委員会の報告書を受け取って、初めて不正を知ったといいます。そのとき、「こんなことまであるのか、とがくぜんとした。車を傷つけるなど、ありえない。一線を越えている」「ゴルフボールを靴下に入れ振り回して損傷範囲を広げて水増し請求する。許せない」と感じたそうです。また、「ゴルフボールで傷つける。ゴルフを愛する人に対する冒涜だ」とも話していました。
こうした発言から、報道陣からは「不正をした会社の経営トップとして、加害者ではなく被害者のように見える。あなたは加害者という認識か、被害者という認識か」という質問が飛びました。また、「自身の罪は、どう考えるのか」といった質問も出ました。
こうした質問に対しては、「私の職務怠慢。私にも責任がある」と答えていました。ただ、そうは言いつつも、例えばゴルフボールで車を傷つけた従業員については刑事告訴も辞さないという姿勢をみせておきながら、会見の最後にはやはりそこまでする必要はないとして撤回するなど、二転三転する場面もありました。
辛坊)今回の問題は、器物損壊に加え、保険金詐欺ではないかと素朴に思います。この問題は、刑事事件としてお灸をすえなければなりませんよ。このまま何となく不祥事として、何がどのように問題なのかが曖昧なまま終わらすべきではないですね。
小永井)ビッグモーター側は、現時点では事実調査を進めているということです。ただ、この直近1年間で保険の取り扱いがあったのが約3万台ありますが、公表している調査済みの件数は8427件です。ペースとしては1週間で150台しか進んでいませんから、まだまだ事実認定をしなければならない車があります。
辛坊)これだけ大規模な会社が、これほど大規模に保険の不正請求をしていたということになると、当然ながら任意保険の等級に影響したり、今回の問題に全く関係ない一般ユーザーの保険料が上がったりしている可能性もないとはいえません。
小永井)そうなんです。等級に関しては、保険会社を通じてこれから協議していくということです。不正な修理は認めながら、修理し直すか返金という形になるとそうです。個々のケースに応じて対応していくと説明がありました。
辛坊)兼重社長の責任の取り方ですが、結局は辞任することになりました。ビックモーターのイメージが急速に悪くなり、このままだと会社が立ち行かなくなる恐れがあると考えたのでしょう。オーナー会社ですから、株式の大半も兼重社長が持っているはずです。会社がつぶれたら、その株式は全てパーになりますが、自分が社長を辞めることで会社を存続させれば、株主としての権利は残ります。おそらく、こうしたことも背景にあるのだと思います。
小永井)今後の事業については、顧客のために一生懸命に継続していけば、理解してもらえると考えているようです。一方、株主としての利益についても話がありました。
辛坊)「ステークホルダー」という言葉を使いましたね。言葉の意味は「利害関係者」ですから、従業員や株主などさまざまな人たちが含まれますが、一般的には株主を指すイメージが強いです。ですから、私は「社長。つまり、それは自分のためだろう」と突っ込んでしまいました。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)