数量政策学者の高橋洋一が7月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国の秦剛外相の解任について解説した。
中国、秦剛外相を解任
中国国営・新華社通信によると、中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は7月25日、秦剛国務委員兼外相の外相職を解き、後任に外交トップで前外相の王毅共産党政治局員を任命すると決定した。理由や秦氏の処遇については明らかにされていないが、事実上の更迭とみられる。
「親米か反米か」の権力闘争 ~王毅氏が勝ち、中国の反米が強くなる
飯田)報道では外相と書かれますが、外交部長のポジションです。秦剛氏は6月25日にベトナムやスリランカの外相らと会談したのを最後に、表に出ていません。
高橋)中国に詳しい評論家の石平さんに聞いたら、秦剛さんは以前、アメリカの方の仕事をしていて……。
飯田)アメリカ大使でしたよね。
高橋)でも王毅さんはそうではないから、要するに「親米か反米か」の権力闘争だと言っていました。
飯田)なるほど。
高橋)結果的に王毅さんが勝ったということは、親米ではなくなり、反米傾向がより強くなるのではないかということでした。日本もそういうことを予測しながら、中国と付き合った方がいいですね。日本はアメリカと一緒だと思われているから。今後、日本に対しても厳しくなるでしょう。
王毅氏が日本に甘くできない安倍元総理との経緯
飯田)何の外国語を専攻したかで「○○スクール」などと言いますが、王毅氏は日本語を専攻した「ジャパンスクール」で、一方の秦剛氏はアメリカとのパイプが強い。
高橋)でも、王毅氏は日本語を専攻していたけれど、安倍さんに「王毅さんはゴルフが好きなのですよ」と習近平さんの前で言われてしまった過去があるから、日本に対しては甘くできないのですよ。
飯田)そういう過去があるだけに。
高橋)習近平さんはゴルフが大嫌いなのに、目の前で言われてしまった。当時、王毅さんは必死に「やっていません」と否定したらしいです。だから日本に対して厳しい目で見るのです。
秦剛氏が去り、王毅氏が外相に戻ったことで日本に対しても強硬路線へ ~福島第一原発をめぐり、日本の水産物を実質的に輸入禁止したのもその一環か
高橋)秦剛さんがいなくなったということは、対米の融和路線がなくなり、対立路線になった。日本に対してもそうだと思いますよ。
飯田)日本に対しても厳しくなる。
高橋)福島第一原発の処理水の話などでも、影響が出ているではないですか。露骨に「汚染水だ」と言って、日本の水産物の輸入を止めたりしているわけですよね。
飯田)水産物の輸入を。
高橋)ある意味では、既に強硬路線が始まっているような状況に見えます。すべて辻褄が合うではないですか。
今後は反米に ~日本に対しても厳しい対応を取る可能性が高い
飯田)昨日(25日)の林外務大臣の記者会見のなかで、「日中韓の首脳会議再開に向け事務レベルで検討を進める」という発言が出ました。14日、インドネシアで開かれたASEAN関連の会議で王毅氏と話したそうですが、いまになって表に出てきました。
高橋)今後、日本に対してはいろいろと、厳しめの話ばかりになっていくのではないでしょうか。各マスコミは「秦剛外相が解任されたのはなぜだ」というように書いていますが、もう少し取材するべきですよね。
飯田)コロナに感染したのではないか、というようなことも報道されていました。
高橋)それにしては長いし、それが理由なら言うでしょう。
飯田)5日か1週間ぐらいで出て来られますものね。あとは女性問題の話もあります。
高橋)女性問題の可能性はあるかも知れません。権力闘争だから相手の弱みを握ったり、貶めることはよくあるのではないでしょうか。中国は権力闘争の塊ではないですか。
飯田)王毅さんは24日、プーチン大統領の最側近であるパトルシェフ安全保障会議書記と会談しています。
高橋)王毅さんは反米路線なのでしょう。反米・反日で進めるのではないですか?
台湾総統選まで情報戦を仕掛ける中国
高橋)反米路線が続くと、台湾有事の話などはキナ臭い感じになりますね。
飯田)来年(2024年)の1月には、台湾総統選があります。
高橋)それまでは情報戦を仕掛ける。
飯田)あと半年ですよね。
高橋)情報戦を仕掛けるのだけれど、日本に対する水産物の輸入禁止も、その一環かも知れません。ある意味、日本はもう用意しておいた方がいいですよ。
飯田)そういう経済的威圧に対し、連合して対抗するというのが、まさにG7のメッセージだったわけですけれど、それに真っ向から喧嘩を売るような形ですものね。
高橋)そうでしょうね。
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