核抑止を否定しては「本当の平和」を得ることはできない 高橋洋一が指摘

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数量政策学者の高橋洋一が8月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。核抑止論について解説した。

核抑止を否定しては「本当の平和」を得ることはできない 高橋洋一が指摘

※画像はイメージです

長崎原爆の日

長崎は8月9日、アメリカによる原爆の投下から78年の「原爆の日」を迎えた。今回は台風6号の接近を受けて安全確保を理由に平和祈念式典の屋外開催を断念。会場を平和公園から屋内施設「出島メッセ長崎」に変更し、規模を大幅に縮小する。式典参列者は当初約2400人を見込んでいたが、長崎市長など約40人に留め、岸田総理や各国大使ら来賓の出席を取りやめた。

飯田)被爆者の代表が出席して「平和への誓い」を読み上げ、鈴木史朗市長は平和宣言で先進7ヵ国(G7)の核抑止を前提とした考えを批判しました。「核兵器廃絶への道を進むよう求める」としています。

高橋)なかなか核抑止論は認めがたいのですかね。

飯田)先進7ヵ国首脳会議(G7広島サミット)では広島ビジョンが採択されましたが、長期的な部分での核廃絶と、短期的な面で見ると「すべての国の安全が確保される」という一文が入っています。

冷戦時、「攻撃を受けたら直ちに核で反撃する」という抑止力で軍事衝突がなかった米ソ ~「核保有国が脅したら非核保有国は何もできない」ことはウクライナ戦争で実証

高橋)冷戦時は、核抑止論によって戦争にならなかったのです。なぜなら「攻撃を受けたら直ちに核で反撃する」と言ったので。

飯田)かつての米ソの間では。

高橋)それを援用していくと、核保有国と核保有国の間では抑止力が効く。けれども核保有国と非核保有国ではどうなるかと言うと、「核保有国が脅したら、非核保有国は何もできない」ということがウクライナでよくわかったのです。

飯田)そうですね。

高橋)もしアメリカも本気になって応援すれば、通常兵器でもロシアに勝てますよ。それでも最後は「窮鼠猫を噛む」になるので、そこまでできないわけでしょう。

核抑止を否定しては本当の平和を得ることはできない ~「相手とどう向き合い、どう戦争をなくして平和を保つか」ということが重要

飯田)核兵器を使われてしまったらおしまい。

高橋)これは抑止論とまったく同じなのです。

飯田)むしろ西側が抑止されているという状況。

高橋)そうですね。それはウクライナ戦争で現実として明らかになりました。抑止を「ダメだ」と言ってしまうと、実は本当の平和を得ることはできないのです。

飯田)核抑止はダメだと言ってしまうと。

高橋)いろいろな格言があるのだけれど、戦争というのは「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」という格言が真実なのですよ。何となく「現実はそうではない」と思ってしまうのだけれど、相手がいる話なので、「相手とどう向き合い、どう戦争をなくして平和を保つか」ということが重要なのです。

飯田)平和のためにはどうするべきか。

高橋)抑止を止めて全部ギブアップしてしまったら、核保有国は楽ですよね。日本は中国と北朝鮮、ロシアの3ヵ国に囲まれていて、日本は非核保有国です。だから大変なのです。隣の韓国も、核兵器を持つと言い出しています。核兵器を持たないにしても「核共有(ニュークリア・シェアリング)」の形を取る。

飯田)アメリカとの間で。

高橋)そういうことをヨーロッパなどではやっています。非核保有国がNATOに入りたいのは、そういうことです。平和は重要だけれど、そういう現実を踏まえずに、ただ平和を祈念しているだけでは、平和は来ません。

飯田)韓国では核武装論が出ていますが、それに対してアメリカは「核拡散になってしまう」ということで止めようとしています。

高橋)でも核がない状態で「脅されてしまえばどうなるか」というのは、ウクライナを見ていればわかるわけです。

日本が核攻撃を受けた場合、相手国にアメリカが核で報復することはない ~日本は被爆国だからこそ、核兵器を持って防御する権利がある

飯田)日本と引き比べて考えると、日米同盟があり、いまはアメリカの核の傘に入っているとされていますが、日本としては「アメリカを本当に信頼できるのか」ということを問わなければならない。

高橋)コミットメントと信頼という考え方があるけれど、アメリカの通常の戦略であれば、日本のために自国を脅威にさらすことはありません。残念ですが、それが現実です。日本が核でやられた場合、アメリカが核で報復するかと言えば、しないです。

飯田)日本に核が落とされたときに、アメリカが自国の都市を危機にさらして核ミサイルを撃つかどうか。

高橋)しないですよ。

飯田)そう考えると、日本としてはより強いコミットメントを求めなければならない。

高橋)通常兵器でも強烈な反撃力があるなど、そういう形にしないといけません。日本は被爆国だからこそ、核兵器を持って防御する権利があると思います。

飯田)被爆国だからこそ。

高橋)核を保有することに問題があるのであれば、核共有してNATOに入るというのが合理的な戦略です。この季節になるとこの話がしにくいのです。新聞などを見ていると、核抑止は酷いと思うでしょう? それに流されてしまって、冷静に合理的に考えようと思わないのですよ。

飯田)他方、被害があったことは世界中に突き付けていけばいい。

高橋)だからこそ我々には、「二度とやられないために守る」という権利があると言った方がいいですね。

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