米中首脳会談が実現しても合意することはない
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が8月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。バイデン大統領が欠席する方向の東アジアサミットについて解説した。
バイデン大統領、東アジアサミット欠席の見通し
飯田)バイデン大統領がベトナム訪問を表明しました。
宮家)ベトナムは中国の隣なので大事な国です。中国との関係も微妙なので、行かなければいけないと思います。
飯田)一方で、9月上旬に予定されている東アジアサミットを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議については、欠席する見通しだという報道が出ています。
場外での打ち合わせが重要な東アジアサミット
宮家)トランプさんの時代も、なかなかASEANに行きませんでした。東アジアサミットは確かに重要なサミットですが、内容はそれほどでもありません。
飯田)会議の内容としては。
宮家)会議そのものよりも、場外で重要な話が進むことがあるのです。
トランプ氏が大統領選に出馬するのであれば、バイデン大統領を出すしかない民主党
宮家)バイデンさん個人のことを申し上げれば、まず支持率があまりよくない。しかし、大統領選には出る気でいます。もし出なかったら民主党の若い人が出てくるかも知れませんが、そうなればトランプさんとしては「待ってました」と言わんばかりの状況になります。若く経験のない人など、簡単に押さえ込む力がトランプさんにはありますから、若い人に変えて世代交代することができない。
飯田)民主党としても。
宮家)そうなると、やはりトランプさんが出てくるのであれば、バイデンさんということになる。年齢的なことを言う人もいますが、いまは80歳近くになっても元気な人はたくさんいますからね。
アジア方面に1週間も滞在するわけにはいかないバイデン大統領
宮家)バイデンさんはあまり記者会見をやらないと言われますが、記者会見しているときのバイデンさんはそれほど悪くありません。ムラがあることは事実ですが。
飯田)そうですね。
宮家)9月上旬はいろいろなことが続くので、副大統領のハリスさんもいますし、インドとジャカルタに1週間もずっといるわけにはいきませんよね。だから片方は副大統領で、ということになったのだと思います。
飯田)東アジアサミットの方は。
宮家)いずれにせよ、一昔前のアメリカの大統領は、ヨーロッパや中東ばかり向いていたわけです。それがこれだけ東アジアに関与するようになった。日米韓首脳会談をキャンプデービッドで開催するなど、「隔世の感があるな」という気はします。
米中首脳会談が11月に開催の可能性 ~合意はないが信頼醸成維持のためにも会うことは必要
飯田)インドで開かれるG20首脳会議には出席予定だということですが、このタイミングで米中首脳会談を実施するという話も出ています。
宮家)米中首脳会談はやったらいいと思います。合意はないでしょうが。
飯田)合意はない。
宮家)中国には勘違いしている人たちがいて、中国と同じように「バイデンさんが決断したら、それですべてが変わる」と思っているのです。しかし、アメリカは必ずしもトップダウンではなく、下から上がってきている政策です。中国ならそれも可能ですが。
飯田)トップダウンで。
宮家)だから、彼らは首脳会談をやりたがっているのです。私としては合意はないと思いますが、首脳会談はやるべきだと思います。信頼醸成だけは維持できるでしょう。相手が何を考えているのかわからない状態が最も怖いので、誤算が生じないよう定期的に会うことは大事です。しかし、いまの状況で米中が何らかの大きな合意に達する可能性は低いと思います。
飯田)少し前までは、いろいろな閣僚の人たちが行き、これが首脳会談への下地なのだと言っていました。
宮家)もちろんそうです。しかし、まだ下地ができていないと思います。習近平さんしか決められないのであれば、下はいい加減なことを言えません。そうであれば、あのレベルで会談しても、下地などできるわけがないのです。
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