ジャーナリストの須田慎一郎が8月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。アメリカで連邦破産法適用を申請した中国「恒大集団」について解説した。
中国の不動産大手「恒大集団」がアメリカで連邦破産法適用を申請
飯田)中国の不動産大手「恒大集団」が、アメリカの裁判所に破産申請を行いました。
須田)「破産」と言うとショッキングで、「経営破綻」のようなイメージがありますが、そうではなく、言ってみれば債務不履行(デフォルト)の1つです。
飯田)経営破綻ではなく、債務不履行の1つ。
米裁判所が連邦破産法の適用を認めるかどうかはまだ決まっていない ~認められれば経営再建に向けて、債務を再編していく
須田)ただ、資産の保全を図るために、どのようなバランスシートの状況になっているのか。それを固定させて、「返すものは返していきましょう」ということなのか。要するに早い者勝ちで、「債権回収が集中的に起こることを回避する」という流れなのですが、これを裁判所が認めるかどうかは、まだ決まっていないのです。
飯田)そうなのですね。
須田)「申請した」というレベルですから、アメリカの裁判所がそれを認めるかどうかは別の問題です。認めるのであれば「経営再建に向けて債務を再編していきましょう」ということです。例えば債務が10あって、資産が8しかないとすると、それぞれの80%の返済で済ませるとか。
飯田)認めるのであれば。
須田)「そういう再編をしていきましょう」ということですが、そもそも裁判所が認めるかどうか、まだわからないというのが現状です。
理財商品にも債務不履行が相次いでいる ~「不動産バブルの崩壊」という側面も見え隠れしている
飯田)このニュースが報じられたとき、「中国の不動産バブルもこれでおしまいか」など、いろいろな憶測が飛びましたけれど、実際はこれからということですか?
須田)ただ、一方では理財商品があります。シャドーバンキングと言われている金融商品です。つまり、銀行などに預けて利回りを取るのではなく、私募債の類です。これについても債務不履行が相次いでいるのです。
飯田)理財商品にも。
須田)なおかつ抗議活動しようとすると、警察が戸別訪問するなどという状況が起こっています。
飯田)抗議しようとすると。
須田)その金融商品のお金がどこに向かっているのかと言うと、中身がよくわかっていないのです。おそらく、かなりの部分がこういった不動産、あるいは不動産開発関連に回っているのではないか。「恒大グループのようなところにお金が回っているのではないか」と言われています。
飯田)恒大グループなどに。
須田)理財商品の現金化がまったくできていない状況がある。そう考えると、「不動産バブルの崩壊」という側面も見え隠れしていることは間違いありません。
中国のバブルが崩壊しても「収束型」なので直接日本やアメリカの銀行などに飛び火することはない ~リーマンショックのときは「拡散型」だったので日本やヨーロッパなども影響を受けた
飯田)理財商品などのお金を集める元となる「融資平台(LGFV)」というプラットフォームは、9兆ドル(約1300兆円)ぐらい残っているという話もあります。すべてが焦げ付くわけではないと思うけれど、大変な額ですね。
須田)1つ言えるのは、中国の不動産バブルも含めて「バブル崩壊」というときに、我々がイメージしなくてはならないのは「拡散型なのか、それとも収束型なのか」ということです。
飯田)拡散型なのか、収束型なのか。
須田)リーマンショックのときは、資産をヨーロッパや日本の銀行が持っていたではないですか。この場合は拡散型で、破綻が起こるとリスクが拡散していくのです。
飯田)いろいろな国に飛び火する。
須田)リスクが連鎖してしまう。しかし、中国の場合は収束型です。日本やアメリカの銀行がお金を出しているわけではありませんから。
飯田)投資案件などに対して。
中国経済への依存度から間接的な影響は出る ~巨大な市場としての中国がワークしないことで中国発の不景気や恐慌が起こる可能性も
須田)その点では連鎖しないのですが、中国経済に対する依存度を考えると、間接的にはつながると思います。いままで輸出し、買ってもらっていたものが売れなくなる場合もあります。
飯田)間接的に。
須田)巨大な市場としての中国がワークしなくなる可能性もあるので、影響が出てくるかも知れない。
飯田)それが世界の企業業績に影響するとなると、広い意味で、中国発の不景気や恐慌ということになる。
須田)そういう形を想定すべきではないかと思います。
消費の落ち込みか ~中国人旅行者の来日が目立っていない
飯田)サプライチェーンなど、取引環境はそちらの部分から見直す必要が出てくるのですか?
須田)その予兆が出ています。中国では日本への団体旅行が解禁されましたが、私は秋葉原に住んでいるけれど、あまり目立っていないのです。アメリカの西海岸、あるいはハワイなどで話を聞いても、中国の団体旅行客が大挙してやって来ている様子はありません。
飯田)そうなのですか。
須田)これが米中関係の緊張によるものなのか、それとも消費の落ち込みが原因なのかは見えていませんけれど。そういう形で影響が出てくるのかなと思います。
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