岸田総理が「燃料油価格対策の取りまとめ」をこのタイミングで指示する「政治的理由」

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数量政策学者の高橋洋一が8月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ガソリン価格高騰に対する緩和措置について解説した。

岸田総理が「燃料油価格対策の取りまとめ」をこのタイミングで指示する「政治的理由」

※画像はイメージです

岸田総理、ガソリン緩和策の延長へ ~8月中の取りまとめを指示

岸田総理大臣は8月22日、9月末に期限を迎えるガソリン価格高騰に対する激変緩和措置の延長を含め、燃料油価格対策を8月中に与党内で取りまとめるよう指示した。また、電気・ガス料金も念頭に、燃料油以外の物価高に対応する経済対策を9月にも策定する考えを明らかにした。

飯田)8月22日、自民党の萩生田政調会長と総理官邸で面会したあと、記者団に対してメッセージを出しました。補助金については段階的に締めてきており、ガソリン価格は全国平均で1リットル当たり180円を突破しています。既に影響が出ていますよね。

高橋)出ています。6月以降、段階的に補助率をカットしているので、それに応じて価格は上がっています。ガソリン価格が上がるのは当然です。

このタイミングで検討する理由 ~処理水放出などの話題と一緒にするため

高橋)いまこのタイミングで「検討」と言っているのは、処理水放出の話があるから、おそらく一緒にしたのでしょう。

飯田)ガソリン価格についてはお盆の前からずっと言われていましたし、お盆でみんなが動くときに対応してくれと思っていました。遅いのではないでしょうか?

高橋)遅かったけれど、「やらないよりもやった方がいい」というレベルでしょう。でも、このようにタイミングをみて、みんな一緒に行うというのはよくあるパターンです。処理水のことで批判を浴びるのは嫌なので、こちらも発表してしまう。

飯田)むしろ、いつ出してもいいのだけれど……。

高橋)検討など、いつでもできるわけですからね。

トリガー条項を発動するよりも補助金を延長する方が簡単

飯田)そういう意味では、政治的には正しいのかも知れませんが、経済的にはどうでしょうか?

高橋)経済的にはもっと前にするべきだと思いますが、政治的なタイミングで世の中は動きますから、それをみてやらざるを得ないですよね。玉木さんは「毎日でも言う」と言っていますが、毎日言えば必ずこうなりますよ。

飯田)国民民主党の玉木雄一郎さんですね。

高橋)税収が余って上振れしているのですから、いちばん簡単な措置です。トリガー条項を発動するよりは、こちらの方が簡単です。まだ延長でしょう? 簡単にできる話ですよ。

飯田)トリガー条項では、ある一定のガソリン価格までいったら、暫定税率の部分をカットすると法律で決まっているのですが……。

高橋)そちらの方が動かすのは少し大変ですからね。この時期になってしまったら、補助金の部分しかできません。

飯田)法律で凍結されているので、改正するとなると手間がかかる。

税金を下げるより補助金を出した方が官僚は嬉しい ~配れるから

飯田)トリガー条項の話ですが、ガソリンにはいろいろな税金が乗っており、そのうちの一部分について、昔は暫定税率と呼ばれていました。リッターあたりのガソリン価格がある程度上がってきたとき、凍結を解除するという話だったはずが、なかなかそうはならず……。

高橋)維新の会と国民民主党が法案を出したため、それに乗ってしまうとよくないという政治的な思惑で、補助金にしたのでしょう。しかし、官僚からすると税金を下げられるよりも、補助金の方が嬉しいのです。

飯田)なぜですか?

高橋)配れるからです。「減税」というパターンだと消費者に直接、という話になりますから、官僚としては補助金の方が嬉しいのです。

飯田)業界団体などに対して顔を売れるのですか?

高橋)顔を売れますし、そのような思惑もあって、官僚に対応を聞くとだいたい補助金になります。変だと言えば変です。本当に下がるかどうかわからないでしょう。

飯田)価格が。

高橋)本当は税金で行った方が透明なのですがね。日本の政策は補助金が多くて、税金で対応できるのに、補助金で行うことがすごく多いのです。

飯田)減税するのではなく、補助金を配る。

高橋)減税は嫌だという財務省の意向もあるのでしょうがね。

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